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又吉直樹が芸人初の受賞で大いに沸いた’15年上半期の芥川賞。同時受賞した若き作家は聖飢魔IIのデーモン閣下風メークで受賞の報告を待っていた一風変わり者。隔週連載《中山秀征の語り合いたい人》。今回は『スクラップ・アンド・ビルド』で受賞した羽田圭介(30)の人となりを掘り下げる。

 

中山「あらためまして、芥川賞受賞、おめでとうございます!受賞以降、大きな変化はありましたか?」

 

羽田「ありがとうございます。確かにしばらくは電話やメッセージの受信などで、ケータイが鳴りっぱなしでしたし、取材対応が続いて、小説を書いている時間がなかったですね。でも、土曜の夜遅くにタクシーで帰ってきて、ひとりでマズイ飯をぼそぼそ食べていると、『土曜の夜なのに俺はひとりでこんなにマズイ飯を食ってんだなー』とふと思うことも。現実はこんなもんか、意外と芥川賞パワーってこんなもんなんだなって(笑)。芥川賞自体よりも、芥川賞によって取材されたテレビの影響によって、生活が変わったかもしれません」

 

中山「受賞が決まった際に、フルメークをして聖飢魔IIの『WINNER!』を歌っていましたよね?あれはどうして……?」

 

羽田「そもそも、芥川賞作家の長嶋有さんから『地獄カラオケをやらないか』とお誘いを受けていたんですよ。ハードロックかメタル限定のカラオケです。長嶋さんが『どうせだったら、羽田くんの芥川賞選考の日にぶつけないか』と提案くださって、あの映像が流れることに。先輩作家さんが幹事をやってくれるのだから失礼のないようにと気合を入れたんです」

 

中山「あの映像は、かなりのインパクトがありました(笑)。又吉(直樹)くんも同時受賞でしたね」

 

羽田「又吉さんの『火花』が雑誌に連載されたときに読んで、面白いと思ったんですよ。インターネット番組や女性誌、小説雑誌などで、『火花』をオススメ本として紹介していたんです。そんな作品が芥川賞をとったので、『選考委員、センスあるなぁ』と思って(笑)」

 

中山「わかってるなと(笑)」

 

羽田「ただ、僕の『スクラップ・アンド・ビルド』と同時受賞するとは1%も考えていなかった。又吉さんの単独受賞はあると思っていましたけど、僕との組み合わせでとるってことが驚きました。作者と関係ないテーマで書くのではなく、作者が内包しているものを洗練させて書いた作品が、今回は支持されたのかなって」

 

中山「そういう意味では珍しい回だったということですね」

 

羽田「時代も当然反映されますし、狙ってとれるものでもない。絶対的な指標はなく、誰かがいいと言ったら評価がひっくり返ったりもする。だから評価はわからないものですが、自分がいいと思ったことや、やりたいことを続けることが大事なのかなとは思います」

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