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「私は日本映画の黄金期真っただ中の’50年に新東宝(現在の国際放映株式会社)からデビューしました。その後、3年でフリーになったものですから、幸いにも当時の有名監督の方々とお仕事をさせていただく機会に恵まれたんです」

 

そう語るのは、昭和の映画界を彩った女優・香川京子さん。12月23日から開催される「溝口健二&増村保造映画祭 変貌する女たち」(角川シネマ新宿にて1月26日まで)の上映作品では、現在85歳の“伝説”が銀幕でよみがえる。

 

「私は自由に仕事をするのが好きで。生意気にも、出演する作品は自分で選びたいと思ってしまったの(笑)。フリーになったおかげで、小津安二郎監督の『東京物語』(’53年)や溝口健二監督の『山椒大夫』『近松物語』(ともに’54年)などに出演することができました」

 

香川さんはこれまでに共演した中で、もっとも印象深い男優として2人の名を挙げる。

 

「三船敏郎さんと長谷川一夫さん。三船さんは荒々しい役が多いけど、本当はとても繊細で優しいの。付き人は付けず、自ら運転して現場入りされていたし、衣装を運ぶ手伝いをされていたぐらい、スターという意識がなくて。セリフはすべて頭の中に入っていらしたから、かなり努力をされていたんだと思うけど、そういう姿は一切見せない。とてもかっこいい男性でしたね。長谷川さんも優しい方で。私はかつらをつけると背が高く見えてしまうから、“足を少し曲げると女らしく見えるよ”と、手取り足取り教えてくださって。素敵な先輩でした」

 

「現在、私は当時の俳優さんや監督のお話をする語り部」と話す、香川さん。

 

「昔の映画はDVDでも見ることができますけど、やっぱり映画館のスクリーンが一番。私の話がきっかけで、今回の映画祭へ足を運んでくださったら、うれしいですね」