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6月18日は「父の日」。そこで、近年に父親が他界した有名人女性が、“親子の絆エピソード”を語ってくれた。愛を込めて――天国のお父さんへ「ありがとう」

 

「昔ながらの頑固おやじで、気に入らないと“ちゃぶ台”をひっくり返すことも日常茶飯事でした。男性中心の考え方なので、私が生まれるときも男の子の名前しか考えていなくて、女の子とわかると、落胆を隠さなかったそうです。2歳上の兄と、7歳下の弟に挟まれた私はいつも父からは蚊帳の外の存在。それは父が亡くなる間際まで続いたんじゃないかな」

 

こう話すのは、女優の大場久美子さん(57)。自営業だった父・宣夫さん(享年84)は、正義感が強く、義理人情に厚く、困っている人がいれば助けるのは当たり前。その背中を見て育った大場さんも、人助けをするのは当たり前と信じている。

 

「父と濃密に過ごしたのは最後の1カ月半。’00年から前立腺がんを患い、発見されたときに『あと半年』といわれながらも、14年を過ごしたのですが……。再び体に異変が生じ、腹水がたまっておなかが腫れていても、自転車をこいで買い物にいったりしていました。父は私の弟夫婦と住んでいたのですが、通院に便利なこともあり、’15年11月に私の自宅へ来てもらうことにしました」

 

急きょ在宅医療の設備を整え、ひと部屋を片付け、介護ベッドを搬入。大場さんと夫、7人のヘルパーで24時間看護態勢を組むことに。

 

「気難しく、袖を通すのは右からとか、生活全般にわたり決まり事の多い父に調子を合わせ、夫は『お義父さん、すみませんね』と声をかけ、すべての介護をこなしてくれました。数年前に私はフットリフレクソロジーの資格を取っていたので、父が寝たきりになったとき、脳を刺激するために足裏をマッサージし続けて『痛い?感じる?』と父に話しかけました」

 

臨終を迎えたのは大晦日だった。前夜からの呼吸の様子で、「最期に近づいている」という予兆があり、大場さんは宣夫さんに添い寝をしながら、「今日は31日だね、いい天気でよかったね」と、ふつうに語りかけていた。

 

「看病のために眠らずに仕事へ行っていた日々も終わりましたが、いまもときどき『あ、これ好きだったな』って父のために飲み物や食べ物を買おうとしてしまうことも。そして『ああ、もう父はいないんだなぁ』と、われに返る自分がいるのです」

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