女優の中村メイコさん(84)が古舘伊知郎(63)を聞き手とした自伝、『もう言っとかないと』(集英社インターナショナル)を出版した。同書では82年もの芸能生活を振り返り、美空ひばりとの交流秘話、吉行淳之介との初恋、そして自らの墓についても踏み込んでいる。

 

「死は毎日、意識しています。もう、長く生きすぎましたからね」

 

そう語るメイコさんに、“終活”について聞いた。

 

「18歳のとき、精神的に不安定になって自殺を試みたこともあったくらい。だから84歳まで生きるなんて夢にも思わなかったの」

 

メイコさんは、茅ケ崎海岸で入水を試みたエピソードを本の中で明かしている。“泳ぎがうますぎて”、自殺に失敗。そこに迎えに来てくれたのが、交際前の夫・神津善行さん(86・作曲家)だった。死に場所は決めている。

 

「病院で死にたいんです。それはひばりさんが晩年、病院で過ごしていたからかもしれません。ひばりさんは楽しい思い出のある青葉台の大豪邸で過ごすのはつらかったと思うの。グランドピアノがあって、酒盛りのために大勢が集まった大きな部屋に、ぽつんと布団を敷いて、最期の時を過ごすのは嫌だと思ったんじゃないでしょうか」

 

メイコさんも、最後は病室のベッドで、ゆっくり過ごしたいと考えている。延命措置も望まない。

 

「“見限りのいい主治医”がいいですね。『がんばって』なんて、絶対に言わない人。80歳を過ぎて、そんなこと言われてもね(笑)。私、頑張りすぎず、ありのままに生きてきたから、妻も母も女優もやってこられたと思います」

 

お墓もすでに決めた。

 

「私は仕事で海外に行っていたので、父の死には立ち会えませんでした。夫は病床の父と、『長年お借りしましたので、メイコが死んだらお返ししますね』と、男の約束をしたそうです。だから、うちは“夫婦別墓”と決めています」

 

メイコさんは、両親が眠っている墓に入るつもりだ。

 

「夫には『別の墓だと、離婚されたみたいで嫌じゃない。私の骨を神津家の墓に分骨しようか』と言ったんですが、『口のあたりの骨がきたらうるさいから、結構です』と断られてしまいました(笑)」

 

気になるのは、やはり芸能界のことだ。「最近の芸能界はつまらない」とメイコさんは手厳しい。

 

「スターがいなくなりました。大女優の山田五十鈴さんは、堂々と恋をしていたし、酔っ払って前の旦那の家に帰って『君の家はここじゃないだろう』と言われるほど、豪快だった。でも、最近の芸能人は、不倫報道を見てもわかるように、堂々と“恋も浮気も”できない。サングラスに帽子とマスクをしてデートしても、ちっとも楽しくないじゃない。女優の華やかさはどこにいったのかしら」

 

テレビ番組も、熱量が足りない。

 

「たとえば対談番組なのに《メイコさん、お若いんですね》《いえいえ》って、台本まで作ってある。昔のように、生放送の何が起こるかわからない緊張感や楽しさが失われているんです」

 

“生”の人とのやりとりが欠けているのは、テレビの世界だけではなく、時代を象徴していること。

 

「会ったばかりでよく知らない人とも簡単にLINEでつながりますが、深い人間関係は生まれません。もっと人と向き合って、関わるほうが人生楽しいはずですよ」

 

それが、メイコさんが元気で年を重ねられる秘訣なのだろう。