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「私は、決して歌手になりたかったわけではありません。でも、作家やスタッフ、時代に恵まれたおかげで、気づいたら48年。大した能力も根性もない私は、みなさまに作っていただいた歌手です。とても恵まれた歌手人生でした」

 

そう語るのは、年内の活動を最後に芸能界から引退する森昌子(61)。’71年に『スター誕生!』初代グランドチャンピオンとなり、13歳でデビュー。山口百恵、桜田淳子とともに“花の中三トリオ”で国民的にスターに上り詰めた10代をこう振り返る。

 

「休みもなく年に4枚のシングルとアルバムを出すようなスケジュール。本気で歌うことについて考えたのは高校を卒業するころでした。“このまま歌手として生きていくのか?”を自問自答し、恵まれた環境にいるんだと気づいて。歌に向き合うことを決めてから、27歳のときに結婚で引退するまで、森昌子のために用意してもらった曲を一生懸命歌ってきました」

 

復帰は20年後のことだった。

 

「離婚して家族を養うためにできることは、歌うことしかなかったんです。でも、若いころと同じように歌えると思っていたのが甘かった。使っていなかった声帯はひどく衰え、思うような声が全くでないことに本当に苦しみました」

 

歌うこと以上に生きることに必死だった時期もある。だが、それでも歌い続けてこられたのは?

 

「“森昌子は歌うことしかできない。私には歌しかない”という思いはずっと一貫していました」

 

12月25日のラスト公演で、惜しまれつつ歌手人生を終える。今、いちばんファンに届けたい曲は、昨年、還暦記念で発売した『あなたの愛に包まれながら』。

 

「“これまでの人生、いろんなことがあったね”と振り返りつつ、“一度きりの人生だから毎日笑って生きていこうよ”と歌う人生の応援歌。まさに、今の私の心境と重なる歌詞です。私にとっての“あなた”はファンのみなさまです」

 

最後に、引退後について聞いた。

 

「まず、自由な時間を楽しみたいと思います。一緒に暮らす87歳の母にもこれからたくさん親孝行したいし、旅行もしたいです。好きなことをして、そのなかから夢が広がるといいですね」

 

では、歌との付き合い方は?

 

「今までは、カラオケに行っても、森昌子としてしか歌ったことがなくて。でも、これからは好きなときに、気楽に歌えるから楽しみ。素人だからのど自慢に応募しちゃおうかなあ。鐘、鳴るかなぁ?(笑)」

 

「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載

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