image
(写真・神奈川新聞社)

 

県内の高速道路や自動車専用道路で落下物による物件事故が年間約600~800件で推移し、後を絶たない状況にあることが県警への取材で分かった。岡山県の中国自動車道では今月、落ちていたタイヤに軽乗用車とトレーラーが乗り上げ、親子が死亡する事故が発生。落下物は大きな事故にもつながるだけに県警高速隊は「ルールを守り、適正な積載、安全運転を心掛けて」と訴えている。

 

同隊によると、管轄する県内の高速道路や自動車専用道路での落下物による物件事故は、記録が残る2008年から16年まで年間617~836件発生。17年は8月末時点で531件に上っている。

 

16年に起きた757件を路線別で見ると、東名高速道路が280件で最多。首都高速湾岸線が121件、第3京浜道路が80件、横浜横須賀道路が61件で続く。

 

落下物の種類はさまざまだ。角材や鉄パイプなど建設現場で使うような物からカラーコーンやパイプ椅子など多種にわたり、中にはバスタブや冷蔵庫、仮設トイレ、プレハブ小屋といった物も見つかっている。道路の2車線にまたがり、通行できなくなる事案もあり、同隊は「大事故を引き起こしかねない」と警鐘を鳴らす。

 

実際、今月18日には岡山県津山市の中国自動車道で落下物の大型車用タイヤに軽乗用車と後続の大型トレーラーが相次いで乗り上げる事故が発生。路肩に避難していた軽乗用車の親子2人が横転した大型トレーラーにはねられ、死亡している。

 

一方で、落下物による物件事故になかなか減少の兆しは見られない。

 

同隊は「一般道と高速道路では走る速度が違う」と指摘。高速で走行すると車道の接続部など小さなでこぼこでも車両に大きな衝撃が出るため、一般道では問題がなかった積載物を固定するひもやチェーンが切れたり緩んだりする。脚立なども固定せずトラックの荷台に置いておくだけでは、弾みで車外に飛び出す可能性がある。

 

落下させた際は道交法違反(積載物の転落・飛散防止措置義務)に当たる場合もあるが、捜査関係者によると、持ち主を特定することが難しい。

 

落下物自体に落とし主を特定する情報が示してあるケースはあまりなく、防犯カメラやドライブレコーダー、目撃情報などを一つ一つ確認するには、「時間と人手が相当かかる」と捜査関係者。物件事故の多くは、被害者が泣き寝入りせざるを得なくなるケースがほとんどという。

 

同隊は「目の前を走行する車から落下する可能性もある。車間距離を十分に取り、適正速度を意識してほしい。落下物を見つけたら速やかに警察か管理会社に通報を」と話す。また事故で車が走行できなくなったときは車の後方に発煙筒と停止表示機材を置き、ガードレールの外側などに避難、道路緊急ダイヤル「#9910」に連絡を、とも呼び掛けている。

関連カテゴリー: