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目指すは「世界で一番、家族で行きたい展覧会」と語るアリカワコウヘイ!さん=21日、西原町のムーンテラス東崎(写真・琉球新報社)

美術作家アリカワコウヘイ!さん(38)が10月2日まで、西原町のムーンテラス東崎で個展を開いている。高校、大学を沖縄で過ごし、北谷の路上が画家としての出発点だ。幾多の苦境を越え「All for Happy(全ては幸せのために)」をテーマに描くアリカワワールドは、全国にファンを持つだけでなく海外でも評価を得ている。

 

福岡県生まれ。5歳からは大阪で育ち、高校1年の時、阪神・淡路大震災と両親の離婚を機に姉の嫁ぎ先の沖縄へ移住。那覇西高では野球部の主将でエース、4番打者として活躍し、沖縄国際大へ進学した。

 

転機を迎えたのは大学生の時だ。知人の借金を肩代わりして生活は困窮し、生きる意味を見失いかけた。そんなある日、「全ては幸せのためにある」という言葉がふと浮かんだ。つらいことも未来の幸せにつながっていると考えられるようになり、新たな挑戦として絵を描き始めた。

 

県の臨時職員として働きながら週末に北谷で絵を売るうち、ポップな作風が評判を呼び、1年後に画家として独立。那覇市内を走る路線バスの車体デザインや、県内企業の商品パッケージも手掛けるようになった。

 

6年前に結婚を機に山梨県へ移った後は海外展開が本格化。緻密に花を描いた作品や抽象的な作品が評価され、今春には国際的な芸術賞を連続で受賞、ニューヨークで個展も開いた。

 

沖縄での個展は今年で13回目。床にタイルが敷き詰められていたり、草木やリンゴが転がっていたりと会場にはこだわりがあふれる。一度は人生に絶望した自分だからこそ伝えられることがあると信じるアリカワさん。「人生がうまくいかず落ち込んでいても、僕の絵を見て元気になってもらえればうれしい」。軽妙な関西弁で来場者を出迎える。(大城周子)

 

(2016年9月28日 琉球新報掲載)

 

 

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