沖縄の夏を乗り切る相棒に  地域の恵み凝縮のクラフトビール続々 イチゴやタンカン活用も
那覇市牧志にある「浮島ブルーイング タップルーム」で提供されるビールの一部。(左)焙煎された麦の香りを楽しむことができる「浮島 Red Moon(レッドムーン)」。赤系に輝く見た目も美しい。(中)「浮島ホワイトフローラ」は那覇市松尾の「謝花きっぱん店」からきっぱん作りに使用したカーブチーやタンカンの皮を提供してもらい、香りづけしている。(右)「浮島IPA」は多種のホップを使用し、独特の苦味と甘みが特徴。アルコール度数も高めでじっくり味わえる一杯 ※ビールのラインナップは時期により変動(写真・村山 望)

 

人と地域が育むぜいたくな一杯

那覇市牧志に昨年オープンした「浮島ブルーイング タップルーム」。少量生産かつ、地域とのつながりを感じられる方法で、高品質な「クラフトビール」を提供している。丁寧に作りあげられたクラフトビールは、種類ごとに香りや味の違いを楽しむことができるのが最大の魅力だ。近年、県内でも人気の高まりつつあるクラフトビールの特徴や製造について、代表の由利充翠(ゆり・みつあき)さんに話を聞いた。

 

平日の夜、仕事上がりに「浮島ブルーイング タップルーム」を訪れてみた。落ち着いた雰囲気のカウンター席に座り、ビールを注文する。この日の一杯目は、「浮島Long Summer(ロングサマー)」(780円)。スッキリとした飲み口と少しスパイシーな香りが、その名の通り、沖縄の「長い夏」をイメージさせてくれる。浮島ブルーイングでは自社で醸造したクラフトビールを常時8種類程度提供している。ビールごとの個性を楽しみつつお店で過ごすのは、ぜいたくなひと時だ。

 

少量生産の強み

「うちが作っているビールは『エール』と呼ばれるタイプのもの。日本で一般的な『ラガー』タイプのビールとは発酵方法が違うんですよ」と話し始めたのは、浮島ブルーイングを運営する株式会社APOLLO BREW(アポロ・ブルー)の代表取締役、由利充翠さんだ。自身も大のビール愛好家である由利さん。浮島ブルーイングで提供されるビールの特徴をたずねると、次のように説明してくれた。

 

浮島ブルーイングで醸造・提供されるエールタイプのビールは、香りと味の豊かさが特徴。仕込みによって、うまみや甘みに変化をつけ、香りもバラエティーに富んだものを作ることができるという。少量生産であっても、作り手の個性を出しやすいのも特徴だ。

 

浮島ブルーイングは、一回の醸造量が130l程度の設備しか持たない、小規模なビールメーカーだ。このような醸造所のことを「マイクロブルワリー」という。大手のメーカーに比べると、一度に醸造できるビールの量ははるかに少なく、一杯あたりの単価も高くなるが「多品種のビールを比較的短期間で展開できる」という強みがあるそうだ。これにより、原材料の一部に「久高島産のハダカムギ」、「カーブチー」など県産の材料を用いてビールを作ることが可能になっている。

 

小規模な生産環境は、個人単位でオリジナルビールを受注できるという利点もある。「まだ一例だけですが、ウエディングパーティーのために、新郎新婦のイメージに合ったビールを作ったこともあるんですよ」と由利さんは胸を張る。

 

ビールでつながる

ビールへの探究心が尽きない由利さんだが、実は、まちづくりに関するコンサルタントとしての一面も持っている。地域の食材を生かしたビール作りには、まちづくりのノウハウが生かされているのだ。

 

「自分たちの持っているビール作りの技術を使い、各地の生産者とつながりを持つことができます。ビールを通して地域と新しい関わり方ができるんです」

 

例えば、浮島ブルーイングが先日期間限定で提供したユニークな商品の一つに「ストロベリースタウト」というビールがある。昨年、南城市で行われた食品関係のイベント会場にて、イチゴ生産者と由利さんが出会い意気投合。フレッシュなイチゴをビールに取り入れようというアイデアがその場で決まったそうだ。

 

ビールを中心にしたつながりはクラフトビールを作る醸造所同士にも生まれている。由利さんは、県内のマイクロブルワリー同士は、スタッフが行き来し、オープンに交流していると話す。醸造所同士で、地域のクラフトビールを盛り上げようとする考えが共有されているのだ。

 

人と地域のつながりを生み出すクラフトビール。「次はどんなビールを作るんだろう?」とわくわくさせてくれる浮島ブルーイングから、今後も目が離せない。

(津波典泰)

 

浮島ブルーイング タップルーム
那覇市牧志3-3-1 3階 (マップはこちら)
098-894-2636
時間=17時~21時
定休日=水曜日

(2019年5月23日付 週刊レキオ掲載)

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