異色すぎる経歴の持ち主は中学校教員 パイロット、特撮ヒーローの悪役…困難を乗り越え、夢実現
顧問を務める相撲部の部員と談笑する浦添中学校教員の久我秀徳さん(左)=浦添市仲間

 

【浦添】ある時はパイロット、またある時は外資系ビジネスマン、さらには特撮ヒーローの悪役と、「異色過ぎる」経歴を持つ教員が浦添市にいる。市立浦添中学校1年6組の担任、久我秀徳さん(37)だ。教師としては新米だが、人生のキャリアは栄光と挫折を経験したベテラン。相撲部の顧問を務めつつ、生徒らに「夢のかなえ方」を熱弁する。

 

久我さんは福岡県出身で、3歳から高校まで器械体操に打ち込んだ。筑波大大学院生の頃、2年間休学し、青年海外協力隊員としてアフリカのザンビアへ。大学院修了後の2009年、日本航空のグループ会社に採用され、パイロットの卵として訓練を重ねた。

 

しかし翌年、日本航空が経営破綻。グループ会社も合理化の波にのまれ、久我さんは操縦かんを握ること無く退職した。米国法人に転職し、バイオ製品の翻訳などに従事。報酬は良かったが、2年間で心身共に疲れ切った。そんな時、琉球エアーコミューター(RAC)がパイロットを募集していることを知る。

 

「(以前の職場で)飛べなかった悔いがあった」。応募すると採用され、副操縦士に。那覇―宮古島など多い時で1日6便、操縦席に座った。昔からの夢だったパイロット。しかし、充実した日々は突如、暗転する。耳の不調だった。

 

「左の鼓膜が固まって、キャプテンの声が聞こえない時があった。もう駄目だと思った」。地上勤務に移り、今度は心を病んだ。通算4年で退職した。

 

失意の久我さんを救ったのは、バク転、宙返りを難なくこなす運動能力だった。「アクション教室の先生に」と誘われ、体操の先生に。同時に人気の「琉神マブヤー」「闘牛戦士ワイドー」に悪役などで出演し、華麗な動きを見せた。ヒーローものでテレビ出演することも夢だった。

 

2年前から、午前中は浦添中で非常勤職員を務めていた。昨年度、教員採用試験を受けたところ、一発合格。本年度から正教員として理科の授業を担当し、相撲部の顧問も務める。

 

久我さんの経歴を知ると生徒らは一様に驚く。相撲部で2年の伊良部誠士(たかひと)さん(14)は「マブヤーもワイドーも小さい頃から好きだった」とうれしそう。生徒には「夢を計画に変えることが実現への第一歩」と説く。3年の新田将大(しょうた)さん(15)は「説得力がある。見習うしかない」。

 

久我さんは「パイロットの頃はお客さんという『固まり』で見ていたが、今は子どもたち一人一人と向き合っている。そこに喜びを感じる。自分の経験を生かし、努力すれば夢はかなうと伝えたい」と爽やかな笑顔を見せた。
(真崎裕史)

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