沖縄戦に参加していた米海兵隊員のポリック・スティーブンさんが壕内で見つけたアルバムに収められている写真(杉谷篤さん提供) 画像を見る

 

鳥取県米子医療センターの杉谷篤副院長(63)が、沖縄戦当時に米海兵隊員として本島で戦ったポリック・スティーブンさんが壕内で見つけた、1冊のアルバムの持ち主を捜している。アルバムは「回顧」という名称が表紙に記され、日本兵が退避の際に残した遺品とみられる。杉谷さんは、アルバムの現物の代わりにデジタル化した写真を所持しており、持ち主や関係者らの情報を募っている。

 

同アルバムは、戦地へ慰問品を送る陸軍恤兵(じゅっぺい)部が支給したとみられる。1940年ごろ、中国で戦闘に参加していた歩兵23連隊からの感状(賞状)や、隊の集合写真、当時の中国の風景、家族の写真などが収められている。集合写真の裏には前田や原田、副島など30人以上の名前が並んでいる。

 

アルバムは杉谷さんが1996年ごろ、米ピッツバーグ大学病院に勤務していた際に出会った患者の父、ポリック・スティーブンさん(当時75歳)の所有物。ポリックさんが1945年4月1日に沖縄本島に上陸し、同9日に壕内で同アルバムを発見した。持ち主へ返したいと思い杉谷さんに託したが、関係する情報が入手できなかった。杉谷さんは同大病院での勤務を終えて日本に帰国した。

 

杉谷さんは「関係者や家族などがいたら、アルバムの写真を差し上げたい。定年退職前にこの責務をぜひ完成させたい」と話した。

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