「これほど問題が大きくなる前に、(宮川選手への言動について)千恵子氏に忠告したんです。本人は『分かってるわよ! 私もバカじゃないんだから』と言っていたんですが……」

 

こう明かすのは、“疑惑の夫婦”を昔からよく知る日本体操協会の関係者だ。16年リオ五輪体操女子日本代表の宮川紗江選手(18)に名指しでパワハラ疑惑を告発された、日本体操協会の“女帝”こと塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫で協会副会長の光男氏(70)。

 

8月29日の会見で、宮川選手は恩師である速見佑斗コーチ(34)の暴力指導を証言するよう塚原夫妻から執拗に求められた上、「五輪に出られなくなるわよ」と脅されたと主張した。

 

だが、その“勇気の告発”から一夜明けた30日、自宅前で報道陣に囲まれた光男氏は「(会見の内容は)全部嘘!」と言い放ったのだ。その後、代理人弁護士を通して報道各社に書面を送付。この書面では一部の発言が不適切だったと認め謝罪したものの、千恵子氏も夫と足並みを揃えて「宮川選手の発言には嘘が多い」と反論した。さらには一部スポーツ紙の取材に対し、強い口調で「こんなの言ったもん勝ちじゃない!もう黙ってないわよ!」と怒りをあらわにしたという。

 

メキシコ五輪に出場した往年の名選手である千恵子氏と、五輪3大会で金メダルを獲得した光男氏。体操界のレジェンド夫妻による協会と五輪の“私物化”は34年前にさかのぼるという――。

 

「千恵子氏が体操女子チームリーダーを務めた34年前のロス五輪に『朝日生命』所属の選手が初出場していますが、その後も多くの五輪選手を輩出し続け、なんとその数は総勢24人にものぼります」(スポーツ紙デスク)

 

「たしかに夫妻は30年以上前から体操界に絶大な影響力を持ってきた」と語るのは、元産経新聞運動部長の津田俊樹氏だ。

 

「とくに千恵子氏は、“強化本部長”ならぬ“強権本部長”と言っていい振る舞いで、以前から体操界には眉をひそめる関係者が少なくなかったのも事実です。宮川選手の話のなかで千恵子氏に“付き人”がいると聞いて驚きました。五輪競技の世界では考えられない話ですから、普段からどういう運営をしているかを象徴しているのではないでしょうか」

 

また宮川選手が主張し塚原夫妻がかたくなに拒否する“有力選手の引き抜き”について、体操クラブ関係者はこう証言する。

 

「他のクラブで育てた選手を引っ張って行ってしまう。『あのコーチは良くない』と言って勧誘するのは塚原夫妻の常套手段で、業界では有名です」

 

池谷幸雄(47)も、自身の体操クラブに所属する世界選手権金メダリストの村上茉愛選手(22)が塚原夫妻に引き抜かれそうになったと明かしているが――。

 

「現在『朝日生命』に所属する杉原愛子選手(18)も、もともとは別のクラブ所属でした。杉原選手のコーチの不祥事を機に、『それならうちで練習しなさい』と千恵子氏が声をかけて移籍したそうです」(前出・体操クラブ関係者)

 

別の体操クラブ関係者もこう同調する。

 

「『朝日生命体操クラブ』は年に1~2回オーディションを開いているんですが、それが他のクラブに所属している選手を対象にしているとしか考えられないんです。合格に求められるレベルが高すぎるため、実際に入る選手は他のクラブの有能選手ばかりだといいます。元の所属クラブに無断で引き抜くというのは仁義的にタブー。でも、塚原夫妻に限っては例外的に許されてきたのです……」

 

女子体操関係者によると、塚原夫妻のクラブから独立した選手は練習場所を制限されることもあったという。将来の芽を摘み取ってしまいかねない、“陰湿な選手潰し”。体操界はこれを機に膿を出し切ることができるのだろうか――。