羽生結弦 交流12年…八戸の研磨師にブレード託し続ける理由
画像を見る 昨年9月、リンクでの深夜練を終えて帰路につく羽生

 

■ブレードは“希望の象徴”

 

フィギュアスケート評論家の佐野稔さんは、フィギュア選手にとってのブレードの重要性について、

 

「武士にとっての刀のようなものです。研ぐ前と研いだ後で滑る感覚が劇的に変わることもあるので、メンテナンスは大事。誰に研いでもらうか、こだわりのある選手にとっては重要だと思います」

 

羽生が吉田さんに研磨をお願いし続けるのは、ただ“腕がいいから”というわけではないように思える、と前出のスケート関係者。

 

「羽生選手は“エッジ(ブレードの刃の部分)は命よりも大切かも”と言っていました。彼は試合前にブレードのカバーに“大事なブレードを守ってくれてありがとう”と祈りをささげるルーティンをするんですが、このとき脳裏には吉田さんや、奥さまである奈々美コーチ、そして被災地のことが頭に浮かんでいると思うんです」

 

羽生とブレードについて、次のようなエピソードもあると続ける。

 

「10年前の震災から数日間、羽生選手は“こんな状況でスケートのことを考えてはいけない”と思っていたようです。被災時にスケート靴のまま外に出たことでブレードもボロボロになってしまって……。でもお母さんが『スケート靴を修理しよう』と言ってくれたことで、再びスケートに向き合うことができたそうです。ブレードは“何度でも前を向く”という希望の象徴でもあるのかもしれません」

 

被災地への思いを“魂のブレード”に込めて、来る世界選手権に挑む羽生。狙うは“王座奪還”だ。

 

「大会には彼が現在2連敗中のネイサン・チェン選手(21)も参戦します。熱の入ったパフォーマンスで雪辱を果たしてくれることでしょう」(前出・スケート関係者)

 

“東北の力”の結集で、羽生の技にも磨きがかかることだろう。

 

「女性自身」2021年3月23日・30日合併号 掲載

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