「9月に入って病状が急変したんです。急性呼吸不全に陥り、危篤状態になったのです」(歌舞伎関係者)
 勘三郎は、今年6月に初期の食道がんであることを公表。しかし、7月27日に受けた手術は、内視鏡手術ではなく開胸術となり、12時間に及ぶ大手術となったという。

 勘三郎は、それまで入院していた病院から高度救命救急センターに指定された都内の大学病院に移送された。実は勘三郎は、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)に罹り、人工呼吸器と人工肺(エクモ)で懸命に病魔と闘っていたのだ。

 ARDSに詳しい、京都府立医科大学付属病院の集中治療部部長・橋本悟医師は言う。
「大手術をした後などに、ときに細菌感染して敗血症や肺炎を発症することがあります。それがさらに悪化しARDSになられたのでしょうか。重度の肺水腫の一種で、肺に水が溜まり、呼吸困難になります」

日本では、年間数万人が発症し、そのうち3~4割の方が亡くなるという。
「一般的に人工呼吸器をつけても回復しない場合、次の段階として人工肺を併用します。スウェーデンやイギリスでは最先端の治療が行われていますが、日本での治療は遅れています。発症から2、3カ月が山場。基本的にはICU(集中治療室)で人工呼吸器と人工肺をつけながら肺の機能回復を待つしかありません」(橋本医師)

 好江夫人(53)は、松竹幹部との連絡や病院との往復で、もともと細身の身体が、いっそう痩せてしまったという。
「勘三郎さんが転院したのも、ここが日本で唯一といっていい、世界でも最先端の設備が整った病院だったからです。現在は意識もハッキリしており、呼吸器を外して簡単な会話もできるまでに回復しているようです」(医療関係者)

致死率4割超の死の淵から奇跡的に“生還”した勘三郎。
「舞台で活躍されている勘三郎さんは体力もあるでしょうから一般の同年代の方よりも、今後回復が見込めるかもしれません。過去には海外で、ARDSの妊婦が無事に出産して、完治した例もあります」(前出・橋本医師)
勘三郎の回復を心から祈りたい。

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