一人一人の要望に応える
名護市宇茂佐にある「手作り工房 彩庵」。沖縄発のオーダーメードサンダルを作るこの店には県内外から客が訪れる。木製なので汗を吸収し、肌触りがさらりとしていると好評だ。メンテナンスや修理、鼻緒の交換などにも対応。長く履き続けることができるのも魅力だ。職人の金城守さんはより納得のいくものを追求し、サンダル作りに日々励んでいる。
色とりどりの鼻緒を付けた木製のサンダルが並ぶ「手作り工房 彩庵」。名護市宇茂佐にあるオーダーメードサンダルの工房兼ショップだ。
木型4種や鼻緒100種以上などの中から好みのものを選び、組み合わせることで、サンダルをカスタマイズできる。サイズは男女各SMLとあり、足型から作るフルオーダーも対応している。
15年以上同店でサンダル職人として活躍する金城さんは、もとはエンジニアだった。県内の高校卒業後、県外の電気系の専門学校で学び、神奈川県の電機メーカーに8年間勤務した。帰沖後、土木や建築業などを経て、友人が開業した同店でこれまでの経験や知識を生かし働き始めた。
2012年頃に経営を任された後は、店を引き継ぎ、一人で切り盛りしている。昔から物作りが好きだったという金城さん。これまでのどの仕事よりも、自分の気質に合っていたようで、「仕事は楽しい」と笑顔で話す。事業が厳しくなっても副業をしてこの仕事だけは維持させてきた。
金城さんは「鼻緒も変えられるというのも特徴。かかと部分に鼻緒を通す穴を空けているので、取り外しや、鼻緒のきつさの調節もできる」と話す。材料の木は4種類。県産のデイゴ、鹿児島県産のヒノキ、クスノキ、センダンを使っている。同じ素材でも天然木なので一つ一つ木目も違い、まさに自分だけのサンダルをデザインすることが可能だ。
客の喜ぶ姿励みに
「お客さんと話しながら作り上げていくのが面白い」という金城さん。左右違う鼻緒にするなど、ここだからできるオーダーメードサンダルを提供し、喜んでもらえることがやりがいだ。
当初、購入者の8割が県外の観光客だったが、オーダーメードというユニークさが評判を呼び地元客も増えてきた。ステージでサンダルを愛用し、応援してくれる県出身の歌手もいる。
メンテナンスにも対応
「長く履いてもらうためには、自分のために作られたという意識が持てないと」と話す金城さん。ゴム底の張り替えや接ぎ木で欠けた部分を修理など、定期的にメンテナンスすることで長期間愛用することが可能だ。2002年の開店当時から通ってくれるリピーターもいる。
木型に使う木材の種類も増やしていく予定だ。強度の点で優れている木を使っていたが、「県産の木がいい」というリクエストも多い。今後、コーティングなどで強度を改良し取り入れたいという。
しばらく控えていた県内外の物産展など、イベントへの参加も再開するつもりだ。これまでは、でき上がったものを販売していたが、「名前を彫ったり、絵を描いたり、現場でその人のためのひと手間を加えることができれば」と話す。「より納得いくものを作りたい」と意気込む金城さん。職人としてのストイックな姿勢を見せた。
(坂本永通子)
手作り工房 彩庵
名護市宇茂佐278番地
(営)土・日・祝 10時~17時
TEL 0980-54-0154
http://www.irodoru.com
(2019年6月13日付 週刊レキオ掲載)