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去る6月26日。米国のすべての州で同性婚が認められるかが争われた訴訟で、米連邦最高裁は「同性婚は合法であり、同性婚が州法によって認められていないのは“憲法違反”である」という判断を下しました。これによって全米で同性婚が法的に認められ、同性婚カップルは税金や社会福祉上の差別を受けずに済むようになりました。この判決を祝して、ホワイトハウスは同性愛の象徴である虹色へとライトアップされ“レインボーハウス”に。ナイアガラの滝やディズニー・ワールドのシンデレラ城、エンパイアステート・ビル、さらにはFacebookのアイコン写真まで虹色となりました。

 

これまで米国における結婚関連の法律は、原則として州が定めていました。実は米国での同性婚容認の歴史は意外に浅く、最初に同性婚が認められたのはマサチューセッツ州の04年です。しかし容認する州は急速に増えていき、最近では全米50州のうち37州と首都ワシントンD.C.が認めるまでに。今回の訴訟はそれ以外の州に住む同性カップルによって起こされたものでした。判決は9人の最高裁判事が下しましたが、結果は僅差。賛成5人、反対4人と真っ二つに分かれました。この数字からも判決がいかに全米を二分するものであり、歴史的なものであったかがわかります。

 

ほんの10年前までは無視されていた同性婚がここまで支持されるようになったのにはさまざまな要因が挙げられますが、なかでも最大の要因は著名な同性愛者やバイセクシャルのカミングアウトにあるといわれています。以前本コラムでも取り上げたアップル社のクックCEOのカミングアウト、最近ではルクセンブルクのベッテル首相(42)がEU首脳として初めて同性婚を公表しました。さらにはTwitterやFacebookなどのSNSの台頭によって同性愛の情報と接する機会が多くなり親近感が増したことも、世論の変化に影響を与えたと思われます。

 

いっぽうで同性婚の合法化については、根強い反対もありました。たとえば「結婚の本質は出産にある」という主張がその一つです。つまり同性愛カップルは子どもが産めないから、結婚も許されるべきではないという立場です。これに対しては出産の意思がない異性カップルにも結婚は認められているわけで、従って出産が結婚の本質であるとはいえないという反論があります。また体外受精や代理母などを通じて同性婚カップルが子どもを得られる環境になりつつあることも、考慮すべき点だと思われます。

 

現在、日本国内において同性婚は法的に認められていません。しかし、これも時間の問題ではないかと思います。同性婚の社会受容までには(1)敵視、(2)無視、(3)承認、(4)憲法的編入の4段階があるといわれています。日本はまだ(2)の段階にあるとされていますが、今回の米国最高裁の判決をはじめとする世界各国での同性婚合法化の波、それに若者を中心としたSNSなどによる同性愛や同性婚に対する認識向上によって、そう遠くない将来に同性婚を法制化するのではないかと考えています。

 

「結婚によって2人はそれまでよりもずっと大きな存在になる」というのは、今回の判決文の中で使われた文言ですが、とても美しい表現だと思いました。「恋愛において1+1=2ではなくEverythingであり、2‐1=1ではなくNothingである」という考え方があります。2人の人間が心から魂から愛し合っているのであれば、そこに年齢や人種、そして性別による差別があってはならないのではないでしょうか。


ジョン・キム 吉本ばなな 「ジョンとばななの幸せって何ですか」(光文社刊・本体1,000円+税)

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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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