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今年4月から「女性活躍推進法」が全面施行されました。同法は301人以上の労働者を抱える組織に対し、女性活躍に向けた行動計画を策定するよう求めるもの。最大の目玉は情報開示を義務付けたことにあります。具体的には管理職の男女比率などを把握・分析し、女性管理職の人数目標などを行動計画として公表させるのです。

厚生労働省は、その数値をデータベース化してサイトで公開しました。そこに企業名で検索すると、男女別勤続年数や男女の育児休業取得率、管理職に占める女性の割合などを確認できるように。また業種ごとに検索することで、その企業が同業他社よりどれくらい女性にとって働きやすいかも比較可能になっています。

さらに本法の適用が企業だけでなく、国や自治体、学校、病院などのあらゆる組織に義務付けられたことも特筆すべき点でしょう。こうした背景には、少子高齢化で労働人口が減少していくという予想のなか、女性の活用が求められている点があります。また多様な人を活用することで、産業構造の変化に対応していくことが求められている点も挙げられています。

みなさんは「M字型カーブ」という言葉をご存じでしょうか。日本女性の就業状況を年齢別グラフで表すと、学校卒業後から20歳代でピークに。その後は30歳代の出産・育児期にいったん落ち込み、子育てが一段落した40歳代で再び上昇するという、アルファベットの「M」に似た曲線を描く傾向があると言われているのです。

女性の年齢階級別労働力率がM字型を描くのは、先進国だと日本と韓国くらい。欧米諸国も以前はそうでしたが、積極的な女性活用や出産・育児後も働ける制度環境整備により「逆U字型」曲線になっています。日本もM字カーブのくぼみが小さくなってはいますが、依然として仕事と育児の両立は容易とはいえません。

内閣府の調査によると、第1子出産前後に離職する女性は、正社員で5割近く。パートなどの非正規だと8割以上で、全体では6割になるそうです。つまり日本では、出産で仕事をあきらめる女性が6割にものぼるということ。妊娠・出産する女性に「退職」という圧力がかかるのは、国際的に見ても異常と言わざるを得ません。

これは国家経済的にも女性の自己実現においても非常に重要な問題で、至急の対策が求められています。そのカギを握るのは、仕事と育児の両立を支援する企業の施策や組織風土づくりの推進。そういう意味でも、今回の女性活躍推進法の完全施行で女性の活用状況を可視化させることは意義が大きいと思います。

そして女性の活用は、女性の就業支援や労働力確保という観点のみならず、経営戦略的な意味でも重要な位置付けになっています。女性の育児・介護の両立支援や柔軟な職場環境を推進する企業は、何もしていない企業に比べて生産性が高く業績も良いという調査結果があるからです。

日本では女性の管理職がほとんどおらず、男女間の差が依然として大きい。そうした男女間の差別を解消して、働く意欲と能力のある女性が活躍できるよう企業が乗り出すことを「ポジティブ・アクション(積極的格差是正措置)」と呼びます。これは国際的な流れであり、日本でも積極的に取り入れていく必要があると思います。

今年の4月は、男女の雇用における差別をなくすことを目的とした「男女雇用機会均等法」が施行されてちょうど30年の節目でもあります。「女性活躍推進法」の施行で、女性がさらに働きやすい環境が築かれることを期待したいところです。

 

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