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美食の国に生まれたフランス人は、食べること〟をとても大切にします。

私の義母は、朝食でさえきちんとナップを正すことを忘れませんし、毎日の食事に銀製のカトラリーを使用しているほど。料理に合わせて器を選び、美しくセッティングすることを心がけると、自然と姿勢がよくなり、食事への意識も「ただおなかを満たす」ものから「味わう」ものへと変わります。

フランス人は、人をよく家に招きます。私たち日本人の感覚では、人を招くとなれば、家の片づけにメニュー選び……考えただけでどっと疲れてしまいますが、フランス人たちは、いとも簡単に招待客を楽しませてくれるのです。

文化の違う友人宅でいただく食事のメニュー選びやテーブルコーディネート術、おもてなし術はとても新鮮で、とても勉強になりました。

おもてなしの基本は「お客さんとの時間を優先する」こと。

おいしいのは大前提ですが、なるべく手のかからないオーブン料理などを選び、キッチンにこもる時間を最低限に。ゲストと一緒にテーブルを囲み、食事を楽しむことが大切なのです。

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左:友人宅でのランチ風景。
右:Astier de Villatteのお皿と盛りつけで、シンプルな料理が楽しく変身。メインのチキンの上に、春らしく卵のミモザを咲かせて。

器や盛りつけ方が違うだけで、料理が何倍もおいしく感じるのですから、不思議ですね。

器は、絵画におけるキャンバス。決して主役ではありませんが、料理を上手に引き立て、演出するために、なくてはならない存在――縁の下の力持ちです。

そこで、今おしゃれなパリジャン、パリジェンヌに絶大な人気を誇る陶磁器ブランド 「Astier de Vil-latte(アスティエ・ド・ヴィラット)」をご紹介しましょう。

フランスにはリモージュ焼やセーヴル製陶所など、歴史ある陶磁器ブランドがたくさんありますが、アスティエ・ド・ヴィラットは、パリ国立高等美術学校で出会ったアーティストふたりが、1996年に始めたブランド。パリ市内にある工房にて、昔からの製法で1枚1枚、手作業でつくり上げる〝100% MADE IN PARIS〟の陶磁器・テーブルウェア専門店です。

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写真:Astier de Villatteの店内。2016年4月、パリ6区に2号店がオープン。
173 rue Saint Honore 75001 Paris/16 rue de Tournon 75006 Paris

店内に1歩入ると、個性ある家具と、壁一面に所せましと並んだ陶磁器に囲まれ、不思議の国に迷い込んだような感覚に。これが無造作なように見えて、じつは計算しつくされた美で、お店全体がひとつの芸術作品と言っても過言ではありません。一見、アンティークのようなアスティエ・ド・ヴィラットの器は、シンプルながら繊細で独特の存在感を放ち、そこに盛るもの、飾るものの魅力を最大限に引き出してくれます。

もちろん、値の張るものでなく、自分が気に入った手ごろな器を使っても、十分に食事を盛り上げることができます。私は、スーパー「MONOPRIX(モノプリ)」の食器売り場のチェックを欠かしません。最近はとてもかわいい器や小物が販売され、デザインも季節ごとにどんどん一新されるようになりました。手ごろなので、季節ごとに気に入ったものを買い足していくことも可能です。そして、新鋭のデザイナーとのコラボレーションも定期的に行われるため、スーパーだからとあなどれないのです。

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写真:5月に入り、MONOPRIXには夏らしい涼しげな色合いのお皿が並び始めた。

食事は、日々の大切なワンシーンです。演出家になった気分で盛りつけやテーブルコーディネートをしてみれば、毎日がもっと豊かに、もっと楽しくなるでしょう!

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