クリソコラ……ちょっと耳慣れない石の名前でしょう? クリソコラ(Chrysocolla)の和名は「珪孔雀石(けいくじゃくせき)」。前回ご紹介した「孔雀石(マラカイト)」とは近い関係にある石です。この和名はマラカイト「孔雀石」の頭に、たんに「珪」という文字がついただけの違いですが、これは何を意味しているのでしょうか。マラカイトがそうであるように、クリソコラも銅鉱物の分解によってできた二次鉱物であることは共通しています。でも、成分が違うのです。クリソコラにはマラカイトと違って珪素(ケイ素)がたっぷりと含まれています。ですから和名では「珪」という文字をつけて「孔雀石」のマラカイトと区別をつけた訳ですね。

一方、英名の「マラカイト」と「クリソコラ」は和名のような結びつきはなく、ネーミングにおいては、まったく異なった由来を持っています。「マラカイト」は石の緑色が植物のゼニアオイに似ていることに由来していますが、「クリソコラ(Chrysocolla)」は、金を意味するギリシア語の「Chrysos」と接着剤を意味する「kolla」からの合成語とされています。すなわち、「クリソコラ」は金を半田付けする際に使用したということが、古代ローマの博物学者であるプリニウスが自著の「博物誌」に記しているとのこと。ただし、今日の鉱物学の専門家の間ではその真偽は疑問視されているようですし、鉱物学的にもまだわからない部分がある石でもあるようです。

Stone_071218では、見た目の特徴ですが、不純物の少ないクリソコラの場合、色は写真のようにたいへん美しいブルーをしています。でも実は、硬度に欠点があるのです。クリソコラはモース硬度2~4ですから、なかでも度数の低いものは人間の爪でキズをつけることができるでしょうし、硬いものでもナイフでキズがつきます。したがって、このままでは宝飾品の石としては向かず、せいぜい彫刻を施した装飾品の素材ぐらいにしかなりません。ところが、この石には水晶の成分と同じ石英が染み込んでできたモース硬度7というクリソコラが天然に存在するのです。これなら、カット・研磨が可能な宝石品質と言えるので、アメリカではこの石を「ジェム・シリカ(Gem Silica)」と呼んで珍重しています。一方、硬度の低いクリソコラも人為的に樹脂を染み込ませ、カット・研磨のできる硬度を人工的に得ているものもあります。天然石にこだわる場合は、注意が必要ですね。

また、ターコイズ(トルコ石)やマラカイト(孔雀石)と組み合わさった、美しい青緑のクリソコラ(イスラエル産)もあります。これは「イスラエルの青い涙」という異名を持っていて、イスラエルの有名なリゾートである「エイラット」を冠した「エンラット・ストーン」として観光客の人気の的となっています。

では、次回に、クリソコラのパワーストーンとしての魅力をお話ししましょう。