「サファイア」の第1回目に「旧約聖書」の「出エジプト記」に出てくる「アーロンの胸当て」のことをお話ししました。そのお話に遡って、唯一神ヤハヴェとサファイアとの関係についてもう少しご紹介しましょう。時は紀元前1800年頃のこと。モーゼがヘブライ人(=イスラエル人)を率いてエジプトを脱出し、神との約束の地カナン(=イスラエル)に行き、ふたたびヤハヴェとシナイ山のふもとで会いました。そのとき、神の足下にはサファイアのような、何ともみごとな石が敷きつめられており、それは澄み渡る大空のようであったと記されています。一方、モーゼがエジプトを出る前に、ヤハヴェから授けられた十戒が刻まれた石版も、サファイアで出来ていたという伝説があります。
Stone_080722 このことからも判断できるように、「サファイアは神にいちばん近い石」という位置づけが聖書を起点に始まっているのです。特にユダヤではブルーサファイアは神の意志を伝えるものとして、神自身が人間界にもたらした貴石だと信じられています。この信仰は、有史以来伝承され、中世ヨーロッパでは、サファイアの指輪をしている者は神の意志を伝える力があると言われていました。そのため、聖職者はこぞってサファイアの指輪をはめていたとか。中でも、1471~1481年に在位していたローマ法王・シクトゥス4世がはめていた巨大なサファイアの指輪の話は有名。そのことから、その時代のバチカンの権力が如何に強大であったかも、うかがい知ることができますね。
一方、インドのヒンズー教徒の間では、サファイアは土星がもたらす災いを避けることができる石とれてきました。西洋占星術では人が土星の強い影響下に入ると、次々と苦難に遭遇するとされています。実際、土星の不思議な魔力は避けがたいものがあり、私自身の経験、友人知人のケースを見ても、確かにその通りです。でも、サファイアを身につけることで、この避けがたい不運の時期を無事に乗り越えることができるならば、素晴らしいこと! ただ、残念ながら私はまだ、サファイアをこのような目的で活用したことがないのです。再び、土星の強い影響下に置かれたときに、ぜひサファイアの力を借りたいと思っています。
ところで、ヒンズー教徒だけではなく、仏教徒の間にもサファイアに対する信仰があります。彼らは、サファイアは心に平安をもたらすとともに、病気や災難から身を守ってくれると考えているようです。「心に平安をもたらす」とはつまり、人の心に住みついた邪悪な考えや人に対する憎悪の感情、不安といったマイナスファクターを消し去ること。その結果、聡明で温かい心を持った人間に生まれ変われるというのです。病気や災難から身を守ってくれるという効用は、実は、心の平安を取り戻すことによって、自然治癒力が高まるからなんですね。

あなたがもし、縁あってサファイアと出会い、それを身につけることになったら、このように考えましょう。それは自分が意識するしないにかかわらず、「今の自分を卒業して、もっと心の広い人間になりたい」と心のどこかで願っているのだと……。サファイアはきっと、あなたの心を浄化し、霊性を高めるお手伝いをしてくれますよ。