鉱物、宝石、パワーストーンを語るとなると、紀元前何千年といった大昔の史実や言い伝えをひもとく場合がほとんどです。でも、このスギライトに関しては発見そのものが1994年ときわめて新しいことから、古い伝承はありません。今日の国際鉱物学連合(IMA)の「新鉱物および鉱物名に関する委員会(CNMMN)」が認定した、いわゆる「新鉱物」のひとつなのです。ところが、私たち日本人にはとても誇りとなることがあります。それは、「スギライト」という名前と関係があります。実は「スギライト」の「スギ」は杉健一という日本人岩石学者の名前に由来しているのです。1944年に発見されていた無名の岩石に、杉健一氏の弟子に当たる村上充英という鉱物学者が、「スギライト」と命名して上記の委員会に申請したのです。そして、1977年には晴れて、委員会から「新鉱物」として認定されました。ちなみに、「スギライト」の和名は「杉石(すぎせき)」です。

Stone_081021_3 しかも嬉しいのはこの「スギライト」、発見された場所は日本なのです。瀬戸内海に浮かぶ岩城島という所です。ここで採掘された石は「うぐいす色」をしていたとのこと。その後は、南アフリカのケープ州北部の鉱山からも同じ成分の石が採掘されました。これは「紫色」の石で、今日私たちがよく目にする「スギライト」そのものです。同じ組成の「スギライト」でも含まれる成分の割合によって、様々な色を呈するというわけです。もう少し詳しくお話しすると、「スギライト」はナトリウム、カリウム、チリウムといった成分からなるケイ酸塩鉱物ですが、鉄やマンガン、アルミニウムを含んでいます。その成分のバランスによって、発色に違いが出てくるのです。一般に、スギライトのカラーレンジはピンクから濃いピンク、黄褐色、紫色ですが、ピンクが強いものにはアルミニウムが多く含まれ、紫に偏ったものは鉄分に富んでいると言われています。

さて、この「スギライト」ですが、歴史上の古い伝承はないかわりに、ひときわ注目に値するプレゼンスを持っています。それは、世に言う「世界三大ヒーリングストーン」のひとつとされている点です。ちなみに「世界三大ヒーリングストーン」は、「スギライト」、「ラリマー」、「チャロアイト」の三石です。面白いことに、この3鉱物は「スギライト」と同様に歴史の新しい「新鉱物」という共通点を持っています。上記委員会からの認定年を基準に時系列に並べてみますと、ラリマーが1976年、スギライトが1977年、チャロアイトが1978年と、まるで誰かが意図したかのように毎年連続で認定されています。

では、「スギライト」にはどのようなヒーリング効果が期待できるのでしょうか? 次回、ヒーラーと呼ばれる方々が指摘している「スギライト」のパワーに加えて、私自身が確信する「スギライト」からのメッセージをお話ししたいと思います。

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