(イラスト:ちたまロケッツ)

『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し番組”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『ラジオ』ということで、『ラジオの時間』編集人の村上謙三久さんが最推し番組を紹介!

 

【最推し番組】『中島みゆきオールナイトニッポン月イチ』/ニッポン放送で月1回日曜27〜29時に放送中(全国9局ネット)

 

『中島みゆきのオールナイトニッポン』は’79〜’87年に放送されていました。読者の皆さんにもリスナーだった方がいらっしゃると思います。そんな番組が復活していることはご存知ですか? 月1回、しかも日曜日深夜3時に。

 

普段は機材メンテナンスを行うため、放送が休止されるこの時間。深夜ラジオ好きらも寝ているタイミングで、2時間の生放送をされているんです。夜と朝の、さらに言うと、週末と平日の分岐点。楽曲からも夜のイメージが合う中島さんにはピッタリの時間かもしれません。

 

ただ、その独特な語り口は、彼女が紡いできた歌と真逆の雰囲気。昔からのファンにとって懐かしいものですが、初めて触れる方は驚かれることでしょう。底抜けに明るいのです。ハイテンションだけれど、騒がしくはなく、絶妙な抑揚があり……。言葉で説明するのは難しいのですが、それがとても心地よいんですね。

 

中身は昔ながらの深夜ラジオ。曲を合間に流しながら、リスナーからの投稿を紹介していくスタイルです。月替わりの「今月のお題」のほか、たくさんのコーナーが用意されていますが、中島さんたっての希望で、投稿はハガキ優先。「手書きの感情に任せて突っ走る文字は味があるからいい」からだそうです。

 

日曜深夜という特殊な時間帯ということもあって、長年のファンから、中島さんに初めて触れる中高生の深夜ラジオ好きまで、いろいろなリスナーがいるのも面白い点です。

 

昨年夏に「水着」をテーマに投稿を募集したことがあったのですが、中3女子からの「今年、ビキニデビューします! 凄く恥ずかしいです」という初々しい声が届いたかと思いきや、続いて紹介されたのは50代女性からのもの。お腹のぜい肉を嘆く内容で、「私が痩せるのが先か、ぜい肉による繊維疲労で水着が破れるのが先か、スリリングな気持ちで毎日泳いでいます」なんてコミカルなお話でした。男性から届いた「ブリーフの上から海パンをはき、それからブリーフを脱ぐ裏技」まで紹介。年齢も住む場所も境遇もまったく違うリスナーたちを、中島さんの笑い声が包み込んでいるような雰囲気なんです。

 

番組から伝わってくるのは、中島さんのラジオへの思い。番組の最後には、紹介できなかったハガキのラジオネームを可能な限り発表しています。そもそも深夜3時から生放送をやっていることからもその気持ちはわかりますよね。

 

あるインタビューで中島さんは「私にとって、ラジオは窓のようなもの」とおっしゃっていました。音楽の仕事にこもってしまいがちな中、外の景色と新鮮な空気を与えてくれる場所だと。それはリスナーにとっても言えることかもしれません。もうすぐ夜が明けて、月曜日の朝がやってくる。憂鬱な気分の時、中島さんの笑い声が新鮮な気持ちを呼び起こしてくれるんですよね。

 

次回の放送は6月10日深夜、鬱陶しい梅雨空も、この番組と一緒なら明るく迎えられるはずですよ。