11月6日に起きた、逗子ストーカー殺人事件。デザイナーの三好梨絵さん(33)の自宅に押し入った小堤英統容疑者(40)は、居間のベッドのそばで彼女を刺殺。その後、彼は2階外側の窓の柵にひもをかけ、首をつって自殺した。
’04年のころ、世田谷区のバトミントン教室で知り合い、’06年ごろまで交際していたという。当時の容疑者は都内の私立女子高で社会科を担当する非常勤教師だった。バトミントン部の手伝いもする彼は、生徒に慕われる人気者だったそうだ。
彼女から別れを切り出されると、彼は梨絵さんに執拗にメールを送るようになったという。
「三好さんがストーカー被害を受けていた期間は6年間にも及びます。その間、三好さんは警察に再三相談に行っていました。昨年6月には小堤容疑者は脅迫の罪で、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けています」(地元紙記者)
小堤容疑者は世田谷区内の閑静な住宅街に建つ築28年・3DKのメゾネットアパートで、母親と暮らしていた。一家を知る近所の主婦はこう語る。
「当初は5人でお住まいでした。お姉さんがいて、男のコが2人。でも長女ももう1人の男のコも結婚して家を出て、お父さんも数年前に亡くなられて、お母さんと2人住まいでした。彼はうつ気味だったそうで、お母さんは苦労していました。『息子には自殺願望がある』と聞いたことがあって驚きました」
’08年、三好さんは結婚して逗子へ転居したが、小堤容疑者は諦めず、厳重注意を受けた。’10年12月には自殺を図り、精神科に入院している。「数年前に谷川岳だったか、どこかの山で自殺未遂をして、ヘリコプターで救助されたことがあると言っていました」(前出・主婦)
今年3月、小堤容疑者は彼女に約20日間で1089通のメールを送りつけていた。そしてついに凶行へ。
今回の事件について、精神科医・香山リカさんはこう分析する。
「恋愛の経験が少なく、相手に自分勝手な思いを抱きがちな男性は増えています。交際がうまくいっているときは、女性は男性にとって聖女なのです。彼は引くに引けなくなって、ストーカー行為自体が生きるよりどころになっていったのでしょう。彼は”聖女”である彼女を手に入れるには、殺すしかないと考えたのでしょうね。彼女がいなくなった世界で生き続ける意味を見つけることが出来ず、結局は自殺してしまったんでしょう」