「山に放された猿たちが、野性に戻って、ちゃんと群れに入っていければいいのですが…。正直、不安はありますね」(地元の土産物店店主)

 今年の年末をもって、23年の歴史に幕を下ろすことになった『日光猿軍団』。最盛期には年間100万人が訪れたが、近年は観客が減少。さらに猿の高齢化も追い打ちをかけた。テレビでの“解散特番”も予定され、有終の美となるはずだったがーー。

 名物校長として知られる間中敏雄さん(65)が、「解散後、猿たちは山に放す」と語ったことで、地元民に波紋が広がっているのだ。日光市は長年、市街地にまで出没する“暴れ猿”の被害に悩まされてきた。

 食品店の男性は、『日光猿軍団』の猿が山に放されることを、こう懸念する。
「店でお菓子を万引きするのは、群れからはぐれてしまった猿です。猿軍団の猿は、結局、縄張り争いに負けて山から下りるはず。食べ物を探して民家に入って物を盗るでしょう。山へ放すのは心配です」

 渦中の『日光猿軍団』間中敏雄校長に話を聞いた。閉園に至った経緯について、間中さんが明かす。
「客の減少、お猿の高齢化などとマスコミには答えてきましたが、最大の理由は、福島第一原発事故による放射能汚染と風評被害ですよ!」
 そう、声を荒げた。
「8人いた韓国人調教師が、原発事故の数日後、放射能被害を恐れて全員、帰国しちゃったんです。せっかく一人前に育てた矢先に……。お猿たちは、原発事故の被害者なんですよ。閉園は本当に急で、苦渋の決断でした」

 猿たちを山に放すというのは、本当なのだろうか。
「いつかこんな日が来ると思って、近くで私が運営するキャンプ場付近の山を少しずつ購入していました。市民から不安の声が上がっているのは、聞いています。野生の猿とウチのお猿たちは共存できないでしょうし、私がエサも与えて、最後まで面倒を見ます」
 日本中に笑いを届けてくれた、芸達者なあのお猿さんたちには、何とか幸せな“老後”を用意してあげたいがーー。

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