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’14年に芸能生活25 周年を迎える湖月わたる。宝塚歌劇団で星組トップを務め、舞台映えする長身で男役として人気を博した。現在は、年明けから約3カ月続く、舞台の稽古真っ最中だ。
岸谷五朗、寺脇康文が主宰するユニット「地球ゴージャス」の舞台『クザリアーナの翼』で、彼女は2役を演じる。物語の舞台は、4つの階級に縛られた架空の国「ジャメーリア」。ひとつめの役・元帥スワンは、クールで冷酷な女性。君臨する絶対君主の大帝・クエーサー(中村雅俊)のすぐ下の階級である軍国民に生まれ、英才教育を受けてきたスワンは、体にも心にも〝鎧(よろい)〟をまとって生きている。
「私も、宝塚では女性であることを殺して、男役として生きてきました。スワンのカッコよさは、男役を経験した私にはぴったり。男性陣を従えて踊るシーンは、まるで宝塚時代に戻ったようです。でも今回、まわりは本物の男性なので、その迫力たるや!」
もうひとつの役は、夢みることを禁じられた、奴隷的な階級のグース。ガンクツ(風間俊介)ときょうだいで力を合わせて生きている。
「こちらの役は、素の自分をさらけ出す感じで、恥ずかしい(笑)。真逆の2役なのに、どちらも自分らしい。岸谷さんの脚本の魔法にかかったみたいです。セリフの稽古をしていると、『表情が違うから、どっちの練習かすぐわかる』と言われますよ」
彼女はいつも公演前、舞台の隅で、観客がまだ入っていない客席を向いてウオーミングアップをするそうだ。
「今ごろ、観劇してくださるお客さまはワクワクしながら劇場に向かい、この一つひとつの客席を目指しているんだなと思うと、すごく大きなエネルギーを感じるんですよね。だからこっちも、みなさんに夢をお届けしなきゃ」
稽古場の近くには時節柄、クリスマスに向けてのライティングをまとった、東京スカイツリーがそびえている。
「毎年ね、予定がないクリスマスより、仕事が入ることを切に願ってしまうんです(笑)。気分を味わいたくて、わざわざ丸の内や六本木ヒルズを通って、美しいイルミネーションを見て帰ったりして。でも、ひとりで眺めている自分には、かなり寂しさが……。今年は中村雅俊さんはじめ、共演者のみんなとクリスマスを過ごせるのではないかと、今から楽しみにしています(笑)」
まっすぐなまなざしが、舞台への期待を感じさせた。
こづき・わたる

’71年6月28日生まれ、埼玉県出身。’89年に宝塚歌劇団に入団。星組男役トップスターを経て、’06年『愛するには短すぎる/ネオ・ダンディズム』東京公演で退団。以来、女優として活躍。おもな出演作に舞台『くたばれ!ヤンキース』(’07年)、『愛と青春の宝塚〜恋よりも生命よりも〜』(’08年)、『カラミティ・ジェーン』(’08年・’12年)などがある。

 

舞台『クザリアーナの翼』

地球ゴージャスプロデュース公演Vol.13
東京公演/’14年1月8日(水)〜2月20日(木)、赤坂ACTシアターにて。ほか、名古屋、福岡、大阪でも公演。問地球ゴージャスFC(03-5457-3485)。公式サイトはhttp://www.chikyu-gorgeous.jp/vol_13/

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