「亡き父はミス・インターナショナル日本大会そして世界大会の司会を務めていました。ですから私にとってミス・インターナショナルは幼いころから思い入れがあるコンテストなのです」
美しい笑顔と穏やかな話し方は、きっと父親ゆずりなのだろう。10月23日に「2019ミス・インターナショナル日本代表選出大会」で頂点に輝いた岡田朋峰さん(20)は、俳優・岡田眞澄さん(享年70)の長女だ。
岡田さんが食道がんで逝去したのは’06年5月。当時、朋峰さんはまだ7歳だった。その前年の’05年4月、本誌は朋峰さんの小学校入学を記念し、岡田さんをインタビューしている。
《娘が成人するのは14年後。僕はそのとき83歳です。少なくともそれまでは生きていきたい。それが僕の目標なんです。結婚するとなると、いまから20年後。さすがに花嫁姿は見られないかなぁ……》(本誌’05年4月13日号)
朋峰さんは岡田さんにとって63歳のときの子供。“愛娘の行く末を見届けたい”というのは切実な願いだったのだ。そんな父の思いについて朋峰さんは言う。
「父も自分の年齢では、私とずっと過ごせないということは理解していました。だから1分でも私と長くいっしょにいられるように、たとえば仕事の合間でも、私をお風呂に入れるために家に帰ってきてくれたりしていたのです」
岡田さんの食道がんが発覚したのは、本誌インタビューの2カ月後のこと。摘出手術後にあらためて病状について聞いたのだが、岡田さんは朋峰さんのことを話すとき、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
「(入院中)娘は毎日、僕に手紙を書いてくれた。内容?『パパ、早く帰ってきて、一緒に遊んで』ってね」
しかし岡田さんは別れが近いことも覚悟していた。リンパ節への転移が判明すると、“突然自分がいなくなったことでショックを与えないように”と考え、朋峰さんにはこう言い聞かせていたのだ。
「もうすぐパパは神様といっしょに朋峰ちゃんを見守ることになるけれど、大丈夫だよね」
今回、朋峰さんは岡田さんが生きたいと願っていた“20歳”という年齢での栄冠獲得となった。
「父が常々『20歳になるまで死ねない』と言っていたことは、私も聞いています。一般的に言っても20歳は節目の年ですが、私にとっては父の言葉もあって、“ご縁を感じる年齢”ということもあり、出場を決意したのです。父は、“どんなときにもエレガントに、気品を忘れないように”とも教えてくれました。日本代表選出大会のステージで父に会えたと思いますし、『よく頑張ったね』と、ほめてくれていると思います」
現在は青山学院大学2年生の朋峰さん。将来の夢はニュースキャスターだという。岡田さんは愛娘の将来についてこう語っていた。
《とにかく娘の自主性を重んじてあげようと思いますね。親が“ああなってほしい”“こうなってほしい”と決めるより、本人に選択肢をたくさん見せてあげるのが親の務めだと思っています》(前出・本誌インタビュー)
岡田さんが遺した愛のメッセージどおり、自分で夢を見つけた朋峰さん。
「父はいろいろな方との関わりを大切にした人でした。だから私も、人との関わりを大切にしてお仕事をしていきたいと思うのです」
来年開催されるミス・インターナショナル世界大会のステージも、岡田眞澄さんがあの優しい微笑みを浮かべながら見守ってくれることだろう。