にしおかすみこ「個性も主体性もなく、周りに流された子供時代」
画像を見る 83年には「山本有三記念・路傍の石文学賞」を受賞。その選定理由は“幼年時代の体験をあたたかいユーモアをもって生き生きと描きあげ、個性を伸ばす教育の大切さをすぐれた作品として表現した”というものだった

 

■娘以上に“トットちゃん”に影響を受けた母

 

一度は読むのを挫折した“トットちゃん”を読破したのは、小学3〜4年生くらいのとき。

 

「電車の車両の中に教室を作ったり、自由な学校だなって羨ましく思って。でも、やっぱり私よりも母のほうが、本の影響を受けていました」

 

トモエ学園では、食事には海のもの、山のものを取り入れる食育が描かれているがーー。

 

「だから遠足のとき、母がそういったお弁当を作ってくれるんですね。でも、当時はサンドイッチをラップでキャンディのように包んだお弁当がおしゃれで。それを言うと『こちらの気も知らないで!』って怒られるんです(笑)」

 

夏休みの宿題の絵日記に“海で浮き輪で浮かんでいると、まるで宇宙遊泳のようだった”と、にしおかさんは書き出したが、学校の先生から「“今日は家族と海水浴に行った”から書き始めるのが、正しい文章」と注意された。

 

「それを知った母は『もっと自由でいいはず。おかしい』と言い始めて。でも、学校の先生に直接、文句を言うことはできなくて『自分を通すために、先生に“この指摘はおかしい”と言いなさい』って。私は別におかしいと思っていなかったのに(笑)」

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