ウクライナ避難民ユリヤさん、M-1参戦で「私はお笑いで戦う!」
画像を見る 2人は大阪と京都と住む場所が違うため、ネタ合わせや稽古は不定期にわずかしかできない

 

■M-1を通して伝えたい「悪を許さないで」

 

ユリヤさんには、漫才を、M-1挑戦を通じて、日本の私たちに伝えたいことがあるという。

 

「ニュースのなかでは、たとえば『1000人、犠牲になりました』と数字が強調されますが、それぞれの人については報じられないし、皆さんも考えない。でも、皆さんと同じように夢を持って生きていた人、一人ひとりが生を失い死んだことを忘れないでください。ウクライナの戦争はウクライナだけの問題ではありません、世界の問題。悪を許さないでください。そして慣れないでください」(ユリヤさん)

 

幸いにも、ユリヤさんの両親、それに夫は、いまも無事が確認されている。

 

「戦争が怖くて泣いてばかりの私のことを母はとても心配していた。だから、両親や夫には、こうして私の笑顔を見せてあげることが、いちばん大切だと思っています」(ユリヤさん)

 

これまで、ウクライーニヤンは何度か稽古を重ね、人前で漫才も披露してきた。その手応えを尋ねると、吉村さんは頭をかいた。

 

「ぶっちゃけ、1回戦を突破できるか否か、瀬戸際だと思います。正直、僕次第です。僕のほうが度胸が足りなくて、セリフが飛んでしまうこともあって(苦笑)」(吉村さん)

 

相方の言葉を聞いていたユリヤさんは、笑って言葉を継いだ。

 

「吉村さん、いっつもすごく緊張しています。私、こう言いました。『吉村さん、ここはあなたの国・日本です。セリフはあなたの母語・日本語です。どうしてそんなに緊張していますか?』って(笑)」(ユリヤさん)

 

舞台裏ではユリヤさん、ボケではなく、ツッコミ役のようだ。

 

「そうなんですよ。口にこそ出しませんが、きっと心の中では僕に『こいつ、言い出しっぺやのに、なんでできないねん!』って、きつーいツッコミ、入れてると思いますよ(笑)」(吉村さん)

 

さて、残念なことに結果ウクライーニヤン、一回戦突破はならなかった。ただし、100組近くのアマチュアの中ではベストという、「ナイス、アマチュア賞」を受賞した。

 

「一応、爪痕は残せたと思います」と吉村さん。

 

これからのウクライーニヤンに期待しよう!

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