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The Wichita Eagle

「BTKキラー」ことデニス・レイダーは「ゾディアック」「サムの息子」に並ぶ米国が生んだ殺人鬼の1人だ。1974年から1991年にかけてカンザス州で10人もの命を奪ったシリアルキラーであり、2005年の逮捕後終身刑の判決を受け、現在も服役中である。この忌むべき殺人犯が犠牲者の家族への“負債を払う”ため、本の執筆に協力していることがわかった。

 

BTKとはBind(縛る)、Touture(拷問する)、Kill(殺す)の頭文字で、その犯行方法に由来する呼び名。殺人を犯した後で新聞社に犯行声明を送りつけたほか、その後何度もマスコミに接触。テレビ局に送った自作のパズルには、キーワードとして本名である「RADER」を潜ませていたことなどからもわかるように、非常に出たがりで自己顕示欲の強いナルシスト型のシリアルキラーとして知られている。

 

過日、カンザス州ウィチタの地元紙「The Wichita Eagle」の編集部に「デニス・L・レイダーの机から」と題した4枚の手記が届いた。文法的誤りやスペルミスに溢れたその文書には、「僕には彼らの愛する人を戻してやることはできない。僕の行為は理解するにはあまりにも暗い。本になるか映画になるかわからないが、これが彼らの助けになる唯一の手段だ」とあったという。レイダーは、ペンシルバニア大学で司法心理学を担当するキャサリン・ラムスランド教授と共に自らの犯罪に関する本を執筆しているというのだ。

 

ラムスランド教授は、レイダーのおぞましい10件の犯罪をおもしろおかしく扱うことは決してないと強調する。「このような類いの犯罪を研究している人たちのためになる」として、真剣に取り組む意志を表している。

 

またレイダーも、この本がシリアルキラーの脳がどのような働きをしているのかを解明する手助けになると話す。「みんな僕のことが好きだ。理解したがっている。犯罪の専門家であれば、より犯罪心理を理解してくれるはずだ。これが社会に対して負った負債を僕なりに返済する方法なんだ」。

 

シリアルキラーはなぜ凄惨な犯罪を繰り返すのか――その脳のメカニズムが解明される日は来るのだろうか。たとえそれが叶ったとしても、犠牲者の家族が負った心の傷は癒やされることはない。

 

 

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