(写真・神奈川新聞社)
横浜市内産の小麦を使用したスパゲティ「ハマッ子パスタ」が、JA横浜の直営店舗で販売されている。農業所得の増大を目指し、1次産業を食品加工・流通販売に業務展開する「6次産業」化に向け事業を推進するJAと、遊休農地を活用する市内生産者グループが連携。地産地消の品を求める消費者はもちろん、農業関係者らの関心を呼んでいる。
「ハマッ子パスタ」はJA横浜のオリジナル商品で、5月下旬に販売開始。同市緑区産の準強力粉「ユメシホウ」が使われ、原材料に含まれる鶏卵も市内産。製麺は県内業者が手掛けており地産地消を強く意識した商品だ。スパゲティとしてはやや太く、小麦ならではの風味や歯応えが特徴でもある。
同市緑、青葉両区の生産者有志17人でつくるグループ「遊休農地を活用する会」が小麦の生産や同パスタの商品化に携わった。地元特産のうどんの原材料となる小麦を生産していた同会は、2012年からユメシホウの栽培に着手。製パンに適している同品種の新たな可能性を見いだそうと、粉本来の風味が生かせるパスタの商品化に挑戦した。試作を重ね、都内の飲食店へ提供するなどした後、JA横浜直営店舗での本格販売にこぎ着けた。
通常パスタに使われるデュラムセモリナ粉はゆでてもこしが強く、形が崩れにくい。これに対しユメシホウの粉は麺が軟らかく延びやすい特性があるといい、同会の三澤元芳さん(46)らは「色や製粉の加減も含め、少しでもデュラムに近づけたい」と現在も商品研究に余念がない。
「横浜で国産小麦が収穫できる“プレミアム感”を出したい」。三澤さんは生産者の立場から、付加価値の要素を意識したことを説明する。JA側も「地産地消の品を求める消費者は確実に存在する」として、旬の野菜や横浜にちなむパスタソース商品と合わせて消費者にPR。直営店舗やオリジナル商品の統一ブランド「ハマッ子」の新たな顔として育てたい考えだ。
同会の取り組みはグループ名の通り、遊休農地を活用した新たな取り組みの一例として農業者らの注目を集めている。メンバー各自の営農に支障が及ばない範囲で「比較的手間がかからず、農耕機械が使用できる作物」(三澤さん)として、約80アールの農地で小麦などの栽培を手掛けてきた。「自分たちの活動を一つのモデルケースに、JAを含めた市内農業者全体で遊休農地の有効活用を考えていけたら」と話している。
市内13のJA横浜直営店舗で取り扱う。250グラム入り260円。問い合わせは、JA横浜販売課・電話045(805)6613。