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(写真・神奈川新聞社)

 

厚木基地(大和、綾瀬市)で5年ぶりに行われた米空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)は5日、終了した。米側が訓練を通告した4日間で、少なくとも900件を超える苦情が県央地域を中心に横浜、相模原、藤沢、鎌倉市を含めた近隣10自治体と県に寄せられ、騒音被害が広範囲に及んでいることが浮き彫りとなった。

 

同日は午前8時16分から訓練が始まり、空母艦載機が滑走路を空母の甲板に見立て着陸直後に離陸する「タッチ・アンド・ゴー」を繰り返し、間断なくごう音が響き渡った。訓練の終了は午後0時19分で、米側からの情報として国を通じて各自治体に伝えられた。

 

基地前では県央地域の住民らでつくる反基地4団体が抗議活動を実施。約50人が「米軍機は訓練を中止しろ」などと訴えた。

 

FCLPは空母艦載機のパイロットが洋上運用を行うために課せられた訓練。今回は6日までの日中の実施が通告され、訓練時間は1日から5日まで(3日を除く)の4日間で約22時間30分だった。3日間行われた2012年5月の訓練時間と比べると約10時間減った。

 

大和、綾瀬両市には5日までに少なくとも499件の苦情が寄せられた。騒音(70デシベル以上、5秒以上継続)測定回数は滑走路北約1キロ地点と、南約1・8キロ地点で少なくとも1,634回に上った。

 

FCLPは暫定的に硫黄島で実施されてきたが、在日米海軍司令部によると、今回、台風の影響で同島で行えなかった。代替施設が複数ある中で厚木基地を使用したことについて「すぐに行える装備が整っているため」と説明していた。

 

米空母艦載機の岩国基地(山口県)への移駐はすでに本格始動。日米両政府はこれまで厚木での騒音は軽減されるとの見解を示してきた。だが、同司令部は8月、移駐後も訓練や給油、整備を理由とした厚木基地の「折に触れた使用」を明言。基地周辺住民からは移駐後の騒音軽減を疑問視する声が上がっていた。第5次厚木基地爆音訴訟原告団の大波修二団長は「とてもひどい状況。(騒音解消を願う)住民の思いに逆らっている。裏切り行為だ」と批判した。

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