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(グラフ:琉球新報)

 

児童虐待の相談件数が全国的に増えている。2016年度に児童相談所に寄せられた件数は12万2578件と過去最多となり、沖縄県も713件と前年度より増加した。性虐待のように表面化しにくいケースもあり、統計で示されるより実態は深刻だ。来月は児童虐待防止推進月間。「すべての児童は、心身ともに、健やかに生まれ、育てられ、その生活を保護される」。児童憲章でうたわれている言葉の重みを考えたい。

 

■「面前DV」急増

 

児童虐待は「身体的虐待」「ネグレクト(育児放棄)」「性的虐待」「心理的虐待」に区分される。児童虐待防止法では、子どもの前で、配偶者に暴力を振るう「面前DV」も児童虐待と定義している。

 

16年度の全国の相談件数の内訳は、心理的虐待が最も多く6万3187件、身体的虐待の3万1927件、ネグレクトの2万5842件、性虐待の1622件だった。

 

心理的虐待は13年度から年千件ペースで増加している。厚生労働省によると、警察が「面前DV」を通告するケースが増えたことが要因。

 

■統計に潜む「暗数」

 

虐待の種別の中で最も表面化しづらいのが性虐待だが、16年度は前年度より101件(6・6%)増え、06年度と比較すると、10年で442件(37・5%)増加した。沖縄は前年度比5件増の21件。相談件数全体に占める性虐待の割合は2・9%で、全国1・3%の2倍強となった。沖縄の性虐待の割合は例年、全国平均より高くなっている。

 

ただ、「統計もあくまで明らかになった数字で、被害が表面化していない『暗数』が多い」と指摘する関係者は多い。

 

県コザ児童相談所相談班長の後野(うしろの)哲彦さんは「性虐待は被害児が自ら被害を口に出すことが難しい。表面化した時点ですでに長期間被害を受けている場合が多く、被害児童の心身への影響は計り知れない」と語る。

 

その上で、性教育プログラムや人権教育、暴力防止教室などの学びの場を、乳幼児健診や保育、学校現場などで持つことが大事だと訴える。「児童年齢や発達に合わせた教育を継続的に実施し、大人に対しても、被害が子どもの心と体に及ぼす影響などについて知ってもらうことが、虐待防止の大きな前提になる」と話している。

(新垣梨沙)