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前財務省事務次官のセクシュアルハラスメント(セクハラ)問題は、メディアで働く女性が被害に遭った。県内のマスコミ業界で働く30~40代の女性3人に、県内の業界の事情や、セクハラ問題にまつわる本音について話を聞いた。これまで、セクハラの体験を社内でもあまり語ってこなかったという彼女たち。「大事(おおごと)になるから」「仕事相手との関係が完全に壊れてしてしまう」「(自分自身が)担当を外されるのではと不安だった」などと複雑な心情を語った。セクハラを我慢しながら仕事してきたことに「私たち、セクハラに慣れすぎていたのかも」と異口同音につぶやいた。

 

◇事務次官問題の受け止め

 

A あのような発言をする人はいる。相手が事務次官だったから大きな問題になった。逆に週刊誌に訴えたのは、よっぽどこの事務次官に恨みがあったのかなと思った。そう思う自分が、セクハラに慣れ過ぎているとも思った。

 

B 女性が夜の会食に行ったことを責めるのはおかしい。男も女も仕事上、営業の人でも人間関係を築く上で食事に行くことはある。そこを責めるのは女性蔑視だなと思った。

 

C 過去に何度もセクハラを受けていたんだろうなと思った。記者職は先輩から「取材相手と仲良くなれ」「電話1本でウラ(事実関係の確認)が取れる仲になれ」と言われるから、飲みにも行くし休みの日に電話がかかってきても対応する。

ライバルもいるから、記者として未熟なうちは飲みに行かないとか、ノーとは言えない。おじさんと二人きりになったら、「怖い」よりも「(情報を聞き出せるかも)ラッキー」と思ってしまう。働き方に違和感を感じていても、自分の感覚を麻痺(まひ)させないとついていけないし生き残れない。会社に加害者を処分してくださいと言ったら、(自分自身が)担当を異動させられるかもと思い、言えなかった。

 

◇被害訴えに「今度おごるよ」と軽く

 

― セクハラを受けたことはあるか。

 

A テレビの場合ディレクターに気に入れられないと起用されないことがある。セクハラを受け入れられる子が気に入られる傾向がある。

 

B しゃべり手という専門職としての意識を持って入社したものの、水着を着て、海のリポートをするなど、違うことを求められる場合がある。女子アナってそういう扱いされがち。

 

A 社内の記者が接待のために女子アナをホステス代わりに呼ぶことがある。一度、会食中ずっと太ももを触られたことがある。帰りに「ずっと触られ続けた。あの人やばくないですか」と記者に訴えたら「まじでーごめんねー今度おごるよー」という感じだった。

 

― やめてくださいと言える感じではなかったのか。

 

A 記者の人に迷惑がかかるし、記者も私が耐えられるタイプと分かっているから、気付いたとしても何も言わない。自分から言える状況でもなかった。

 

C 周りが言ってくれないと自分からは言えないですよね。接待要員として女性社員利用はダメ、とルール化してくれたらありがたい。

 

A その通り。そこは明確化してほしい。女の人を下に見ているからそういうことができるのだと思う。

 

― 女性が盛り上げ要員として使われている。

 

A (女性を)呼んだ自分の力を見せつけたい思いもあるのではないか。

 

C 「使えるやつ」と思われるのが男の人にとっては大事なのかも。

 

◇セクハラする人が悪い 

 

― セクハラに遭ったときに誰かに相談したか。

 

B 特にしなかった。自分の中で「あの人は気を付けよう」と思っていた。大事(おおごと)にしてしまうと相手の人生を狂わすことにもなると思ったら、どこまでのレベルのセクハラなのか見極めないと難しい。

 

A 上司に言っても「ごめんねー」と謝られて、終わる。もしその人に伝わったら「あいつ、密告しよった」と私とその人の関係は完全に壊れる。だからセクハラをしないでほしいんですよ。

 

C 当時の先輩には言った。加害者に社会的制裁を望んでいるのではなない。自分がリスクをおかして公表しても、思うような罰がくだるとは限らない。どうこうしてほしいというより、二度と同じ事をされたくない、後輩にもしてほしくないというのが一番の思い。

 

― どんな解決策があるか。

 

A セクハラがなければ飲みに行ってもいいんじゃないですか。人間関係を築いて情報を得ることは悪いことではない。

 

C 飲み会や夜回りが悪いわけではなく、セクハラをする人が悪い。

 

― セクハラに遭った時、上司がどう対応してくれたらうれしいか。

 

A 「俺から注意しとくよ」と、言ってくれたらうれしい。「二人で飲みに行くことはない。望むなら向こうの上の人にかけあってもいい」と言ってくれたら「ありがとうございます(涙)」となる。

 

C セクハラ被害の後、加害者に会う次の飲み会には男の先輩も一緒に行ってもらった。それ以降その人からのセクハラはなくなった。暗黙のメッセージが伝わったかなと思った。

 

B 直属の上司に、飲み会の前に一言相手に電話を入れてもらう。そしたら向こうも自重するのでは。

 

A 以前働いていた会社では、セクハラをした部下の問題は上司の人事に関わる。それが原因で上司が飛ばされることある。監督責任が問われる。

 

◇使命感を勘違い?!

 

― セクハラをする加害者をどうするか。

 

A 私の中の境界線は、加害者が私を本当に狙っていない時の下ネタは許せるが「どうにかしたらいけるんじゃないか」と狙われているのを感じたら、もうその瞬間気持ち悪くなる。「こいつやばい」と思うとだめ。

 

B 女性は一気に気持ち悪く感じる瞬間がある。さっきまで楽しく話をしていたのに、下心が見えたとき「気持ち悪い」となる。話が違う方向にもっていかれたらショック。

 

C 取材先の人には基本的に相手を肯定する話し方、興味・関心を前面に出して話を聞く。もしかしたら、そこで(相手が)勘違いしてしまうのかもしれない。

 

― 女にも下心があるという人も中にはいる。

 

C 下心だとすれば「ニュースがほしい」という思いだけ。使命感というか、仕事でしかない。性的な意味はない。

 

B 根本を変えるのは難しいかもしれないが、せめてセクハラを受けた人は絶対的に被害者なので、被害を受けた後の不当な異動は絶対認めないという社会になってほしい。

 

A 事務次官の辞任はある意味良い傾向ではないか。発言が重い罪になり、ダメなんだと分からせた。

 

B 今回、言葉だけでもダメというのが伝わった。

 

A 女の人が「セクハラだ」とぎゃあぎゃあ騒ぐと男の人は引く。男の人こそ「こうしていこう」と動いてくれた方が納得できそうに思う。

 

C 男性たちには、自分の娘、奥さん、恋人など自分の大切な人が嫌な思いをしながら働いているかも、ということを知ってほしい。

 

A 社会人として間違っていると伝える上の人がほしい。社内でセクハラをしない人は、社外でもやらないと思う。

 

B セクハラをもっとタブー視しないで話せる状況が必要では。男の人も何がセクハラか分からない。サラリーマン川柳のように募集して、意識させることも必要。

 

C 今の20代の人たちの受け止めはもっと違うのではないか。慣れさせられている私たちより、もっとセクハラに敏感かも。

 

B ひと昔前まではチークダンスの強要やお尻を触る人もいたけど今はいない。

 

A そういう意味では、社会も成熟しつつあるのかな。若い世代に期待したい。

 

(終)

 

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