米ニューヨーク大で講演し、名護市辺野古への新基地建設阻止を訴える玉城デニー知事=2018年11月11日 画像を見る

 

玉城デニー沖縄県知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設中止を訴えるため、訪米に向けて日程を調整している。辺野古埋め立てへの反対票が、有権者の4分の1(28万8398票)を超え7割に達した県民投票は、県民投票条例の規定により、玉城知事は安倍晋三首相とトランプ米大統領に投票結果を通知することになっており、米政府高官に直接面談して沖縄の民意を伝える考えだ。米政府や米国内の世論に訴えるには英語が必須だが、過去の訪米時には専門の通訳を付けなかったために不備が指摘されるなど課題も残る。

 

玉城知事のリーダーシップの下、組織を挙げて国際社会に沖縄の声を届ける態勢づくりができるかが問われている。

 

就任1カ月余りの2018年11月。沖縄県知事として初の“外交デビュー”となった訪米では、米政府関係者や議員と面談したほか、ニューヨーク大学で講演し辺野古新基地建設の問題点などを説明した。辺野古新基地建設阻止に向け、軟弱地盤や活断層など新たに判明した建設予定区域の問題のほか、サンゴやジュゴンの餌となる海草の移植などが実施されていないことなどについて論点を整理しながら明示した。質疑応答にも応じたが、県の通訳担当者の誤訳が目立った。

 

例えば、玉城知事が新基地建設ついて「今の計画の全体像が明らかになっていない」という発言を訳さなかったほか、「防衛省の計画そのものが間違っているということを指摘できても、それを止めさせる手段がない」との知事発言を「どのように彼らが貴重な動物を守っているか調べる方法はありません」と誤訳した。

 

「多くの専門家や団体からジュゴンを含めた環境保護に対するさまざまな指摘が出ている」との知事の発言は「多くの」を「Some(何人かの)」と英訳。「海底には軟弱な地盤があって、しかもその軟弱地盤の下には活断層があるという問題が明らかになった」と工事の問題点を指摘した玉城知事の発言については「沖縄県には多くの問題がある」と、沖縄側に問題があるかのような印象を持たせるなど、訳が抜け落ちたり、意味の異なる訳をしたりする場面があった。

 

辺野古新基地建設を阻止したい県政にとって、訪米は日本政府の手続きの瑕疵(かし)や民意を無視して工事を進める強硬姿勢、当事者であるにもかかわらず「日本の国内問題」として傍観する米政府の無責任さを米国の政府や議会に直接訴えると同時に国際社会に問題点を明らかにする絶好の機会だ。

 

前回の訪米の講演時には聴衆から「知事の素晴らしい講演や質疑応答を的確に伝えるには、沖縄のことをしっかり理解したネーティブ(現地の人)に近い通訳が必要だ」との声が上がった。県ワシントン事務所の準備態勢や現地で業務委託しているシンクタンクの支援態勢なども含め、県は組織として専門の通訳を付けるなど改善が求められそうだ。
(松堂秀樹)

 

<玉城デニー知事のニューヨーク大学での講演時の通訳の問題点>
・知事は「Okinawa Prefecture has had lots of problems (沖縄県には多くの問題があった)」と発言していない
・「ジュゴンの餌となる海草」が訳せていない
・知事が活断層について発言していない「地震を引き起こすような」を入れている
・県が取り消したのは「当時の仲井真知事の承認」だが、訳では「日本政府の承認」となっている
・「その計画の中には沖縄県知事の許可を得ないといけない手続きも出てきます」との知事発言を「彼らは建設進行のために私の許可を求める必要があります」と誤訳している
・「日本、アメリカ、沖縄の三者で対話」との知事発言を訳す際に「アメリカ」が抜け落ち、「日本政府との対話」と訳している
・「防衛局が環境アセスメントを自分たちでセッティングをしてその中で環境対策を行う」との知事発言を「環境アセスメントをする予定でした。彼らは環境アセスメントを行いました」と訳し、防衛局がきちんとアセスを実施したような表現になっている
・「もう一度アセスメントをやり直すべきではないか」と知事が政府に突き付けているにもかかわらず、訳では「We need to have another environmental assessment.(私たちは別の環境アセスメントが必要だ)」と訳しているため、沖縄県が環境アセスを実施する必要があるというニュアンスになっている

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