沖縄ファミリーマート(那覇市、野崎真人社長)が昨年11月から県内全店で販売している「上間の沖縄天ぷら」が、ファミマの看板商品「フラチキ」「ファミチキ」に迫る人気商品となっている。あまりの人気に製造が追いつかず、店舗からの発注に制限をかけるほど。協力する「上間弁当天ぷら店」を展開する上間フードアンドライフ(沖縄市、上間喜壽社長)も「沖縄の人の天ぷら愛がこれほどだったとは」と驚く。工場を増やし、供給体制を整えると同時に、25日にはチキン天ぷらも販売する。
「上間の沖縄天ぷら」は天ぷらをコンビニでもおいしく食べられるように、独自の調理法を開発し専用工場でつくった。イカと魚の2種類を昨年4月から5店舗限定で試験販売し、製造体制が整った11月下旬に県内全店で発売した。すると予想をはるかに上回る人気で、発売1週目の売り上げは「フラチキの6倍」に上った。店舗に出すとすぐに売り切れる状況が続いた。
沖縄ファミリーマートデリカ・食品課の稲福直哉課長代理は「客層が広がった」と話す。普段はコンビニを利用しない高齢者が「千円分ちょうだい」とまとめ買いしていくこともあったという。昨年11月から今月までの販売数は250万本以上に上る。
上間社長も「予想外だった」という売れ行き。「沖縄はもともと天ぷらを日常的に食べるという文化があったのに、街から天ぷら屋、総菜屋が減って気軽に買えなくなった。その人たちに届くようになったのでは」とヒットの理由を分析する。
ファミマでの販売後、上間弁当天ぷら店の店舗でも天ぷらの売り上げが15~20%増加した。ファミマで初めて上間の天ぷらを食べた人が、店舗を訪れ購入するなど相乗効果もあった。
身近な場所で気軽に天ぷらを買うという需要を掘り起こした沖縄ファミマと上間弁当天ぷら店。定番の魚、イカに続く商品は「チキン天ぷら」。「フラチキ」「ファミチキ」との競合が気になるが、稲福課長代理は「フライドチキンと天ぷらは食べるシーンが違うので、フラチキ、ファミチキとは競合しない」と断言する。「沖縄天ぷらを沖縄そば、タコライスに並ぶ沖縄グルメの定番にする」というゴールに向けてさらに攻勢をかけていく。 (玉城江梨子)