Sui.Saiの首里織名刺入れ。すべて一点もの 画像を見る

十人十色の多彩なデザイン

 

首里織の織り手たちによって結成されたグループ「Sui.Sai(スイサイ)」。生活の中で普段使いできる小物作りに取り組んでいる。それぞれの作品はメンバーの個性が光り、多種多様な柄がそろうのが魅力だ。ともに那覇伝統織物事業協同組合の理事で、グループ発足当初からのメンバーでもある山城有希子さんと起田奈津子さんにSui.Saiの活動や首里織について聞いた。

 

「首里の彩り」という意味を込めて名付けられた「Sui.Sai(スイサイ)」。那覇市の伝統工芸、首里織の継承などに取り組む那覇伝統織物事業協同組合所属の織り手たちが結成した10人のグループだ。「暮らしの中に彩りを」をテーマに、2010年頃から小物作りに励んでいる。

 

1983年に国の伝統的工芸品に指定された首里織は琉球王朝時代、貴族や士族の織物として発達。格調高く品格のある織物として琉球王国時代から受け継がれてきた。

 

小物を通して魅力を発信

 

「首里織は着尺や帯などがメイン。普段着物を着ない人たちにも使ってもらえる小物を作っていこうと立ち上げた」と振り返るのは首里織を始めて17年になる起田奈津子さん。以来、展示会などに向けてアイテムを決め、メンバーそれぞれが布を織り発表。これまでにバッグやかりゆしウエア、ストールなど、さまざまな商品を生み出してきた。

 

中でも注目を浴びているのが、2018年に商品化された名刺入れ。2018年度の那覇市長賞「最優秀賞」にも輝いた。那覇市の革職人が営むアトリエショップ「楽尚(らくしょう)」とコラボレーションし、何度も試作を重ね完成。すべて一点もので、デザインの細部にもこだわった人気商品だ。

 

首里織には、王家や士族専用とされた花倉織や道屯織(どうとんおり)の他、花織、絣(かすり)、ミンサーなど多彩な技法が使われている。

 

首里織歴22年で後継者育成事業の講師も務めている山城有希子さんは「首里織の特徴の1つは多くの織りの技法があること。首里は王府のお膝元という土地柄もあり、多様な技法が集まった。また、すべての工程を一人で行うというのも特徴。だから、織り手が違えば十人十色の魅力が楽しめる」と説明する。使う材料から技法や色まで、個性豊かな多彩な柄を提案できるのもグループ活動の強みだ。

 

すべて手作業で生産されるという首里織は、デザインの考案から糸染め、織り、完成までさまざまな工程を経て完成するという。「織る作業に至るまでの方が長く大変。木の皮を煮出して染色したり、染めた糸を絞って干したりするなど、下準備にかなりの時間と体力を使う」と起田さん。

 

染料はフクギやイタジイ、コチニール、琉球藍などの植物染料と化学染料を使うが、「植物染料を使う場合は、染料となるフクギの木などの木の皮を山に採取に行くことも。中には国頭で自ら琉球藍を栽培し、染めて織っているというメンバーもいる」と山城さんはほほ笑む。

 

伝統守り現代に生かす

 

今後は11月に開催される組合主催の首里織展に向けて、新作の企画に取りかかるという。「喜んでもらえるものを生み出し続けていきたい」と声をそろえる2人。

 

「生みの苦しみはあるが、リピートしてもらえると、やりがいになる。いいなと思ってもらえるものをどんどん発信できたら」と起田さん。山城さんは「小物も自分へのご褒美や思いを込めてあげるプレゼントになればという思いで、一点一点丁寧に作品を作っていきたい」と意気込む。時代の移り変わりの中で伝統を守りながら新しい首里織の可能性を提案していく。
(坂本永通子)

 

那覇伝統織物事業協同組合HP
【HP】http://shuri-ori.com/
(2021年3月4日付 週刊レキオ掲載)

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: