(写真:連休を沖縄で過ごした観光客や県外へ旅行した県民のUターンラッシュが続き、混雑した空港ロビー=5月6日、那覇空港/琉球新報)
国土交通省大阪航空局がまとめた2016年度の那覇空港の旅客数(速報値)が前年度比8.0%増の2,003万6,318人となり、5年連続の増加で初めて2千万人を突破したことが22日、分かった。入域観光客の好調な推移や格安航空会社(LCC)の就航増が押し上げた。那覇空港の第2滑走路増設事業の環境影響評価書は、最大の利用を見込んだ上位ケースで2030年度に1,928万人に達する需要予測を前提としているが、実績は予測を大きく上回る推移を見せている。
那覇空港を利用した旅客数は、国内線が5.7%増の1,695万4,819人、国際線が23.2%増の308万1,499人となり、国内、国際線ともに増加した。特に国際線の旅客数は09年度に30万3,046人だったのが、7年で10倍と急増している。
貨物の取扱量も4.4%増の約41万7,077トンとなり、過去最高を更新。内訳は国内線が0.7%減の22万472トン、国際線が10.6%増の19万6,604トンだった。国際貨物は、全日空の国際物流事業が始まる前の08年度は1,809トンにすぎなかったのが、100倍の規模に拡大している。
一方、沖縄総合事務局と大阪航空局が13年に策定した環境影響評価書では、将来の航空旅客数について上位・中位・下位にケース分けして需要を予測。2010年度の1,423万人を起点に、2020年度に最少1,575万~最大1,748万人、2030年度に最少1,605万~最大1,928万人の結果を示していた。
国土交通省は那覇空港に2本目の滑走路が完成した後の処理容量(滑走路に発着できる能力)は年18万5千回になると試算しているが、発着回数の実績値も15年度で約15万7千回まで増加している。
経済界には、今後も那覇空港の利用が拡大を続けると、増設後の早いうちに滑走路発着が飽和状態に陥りかねないといった指摘があり、増加する航空需要に対応した那覇空港の機能強化を求める議論に拍車が掛かりそうだ。(与那嶺松一郎)