「4C」の前提となる条件は、ダイアモンドの原石が人間の手によってカットされている必要があります。すなわち、ダイアモンドが宝石として評価されるには、ダイアモンドの原石に高度なカッティング技術が施されることによって、「4C」の評価対象となるのです。

Stone_080318では、カットされる以前のダイアモンドとはどんな姿をしている鉱物なのでしょうか? ある程度専門的な鉱物の本を見ますと、そこにはおよそダイアモンドとは思えないような小さなガラス質の固まりの写真が紹介されています。ほとんどはジャガイモのようなゴツゴツとした固まりで、色も黄色から茶系、黒が多く、その中に透明感のある無色の固まりも見られます。しかも、こうした石の固まりを見せられても、特に美しいわけではありませんから、人々がどうしてダイアモンドに魅せられたのか、これはとても興味深いですよね。

そもそもダイアモンドが人類によって発見されたのは紀元前10世紀から5世紀の間とされています。場所はインドということです。紀元前4世紀に栄えていたというマウリア王朝時代にはダイアモンドはすでに貴重な石であったことが、当時のサンスクリット語の文献に残っているそうです。なぜ貴重だったのでしょうか。ダイアモンドの比類のない硬さと希少性に加え、この石が持つ呪術的な価値が認められていたからです。この呪術的側面については、「パワーストーンとしてのダイアモンド」として後ほど詳しくお話ししましょう。

では再び、話を「4C」の前提となるカッティングに戻しますね。中世以来ダイアモンドのカッティング技術はヨーロッパを中心に研究されてきました。でも、何物も歯が立たないほど硬たいダイアモンド故に、他の宝石のようなカットをするということは大変困難なことでした。今日のような近代的カットが確立されたのは、たかだか19世紀末から20世紀にかけてのことなのですよね。アメリカの数学者マルセル・トルコウスキーという人によって考案された理想のカット「アイデアル・カット」が完成されたのが1919年のこと。まさに、このカット技術こそが、ダイアモンドが宝石の中の宝石として君臨するようになった基点でもあるのです。

では、この「4C」についてご説明しましょう。

カラット(Carat:重さ)
宝石の重さを表す単位です。1カラットは通常「1ct.」と表記し、0.2グラムに当たります。当然カラット数が大きいほど希少価値が高まり、高価になります。このカラットと価格の関係は、カラット数が倍になれば価格も倍になるという単純なものではなく、3倍から4倍に跳ね上がります。これはすなわち、カラット数が増えれば「希少性」が倍数的に高まるという現実を物語っています。

カラー(Color:色)
無色透明から黄色みの強いものまでをアルファベットのDからZまでの21段階にグレーディングしています。ただし、この色の判断というものは、前回ご紹介したアメリカ宝石学協会(GIA)が定めた「マスターストーン」というダイアモンドの見本と見比べることによっておこなわれます。D~Fは「Colorless(無色)」の格付けで最高位。G~Jは「Nearly Colorless(準無色)」、K~Nは「Slightly Tinted(微有色)」、O~Qは「Very Light Yellow(ごく僅かな黄み)」、R~Tは「Light Yellow(僅かな黄み)」、U~Zは「Yellow(黄色)」という分類になっています。ただし、ピンク、レット、ゴールド、カナリーイエローと言った特殊な色のダイアモンドは希少性が高く「ファンシーダイアモンド」として別格に扱われています。

クラリティー(Clarity:透明度)
「透明度」と言うより、クラリティーは「キズ」や「インクルージョン(内包物)」の多少によるランク付けといった方が具体的かもしれません。やはりアメリカ宝石学協会(GIA)によって次のように11段階の格付けが定められています。FL(Flawless:フローレス)…これは10倍のルーペで鑑定したとき、内包物がまったく発見されないもので、最高の品質を意味します。IF(Internally Flawless:インターナリー・フローレス)…これはFLと同様に内包物はまったく見当たらないけれど、表面的には簡単に取り除くことができるほどの微少なキズが存在するものを言います。ランクとしてはFLに近い最高品質です。VVS1,VVS2(Very Very Small Inclusion 1,2:極めて小さな内包物あり)…これは10倍のルーペで鑑定したとき、ごくごく小さな内包物が発見されたものを指します。このランクまでは最高品質とされています。VS1,VS2(Very small Inclusion:小さな内包物あり)…これは10倍のルーペで鑑定したとき、小さな内包物が見られるものですが、このランクまでなら、宝石としての価値は十分あるとされています。SI1,SI2(Small Inclusion:複数の内包物あり)…これは10倍のルーペで鑑定したとき、複数の内包物が確認できるレベル。宝石価値としては下回るもののアクセサリーレベルとしては通用します。I1,I2,I3(Inperfect 1,2,3:肉眼によっても内包物が発見できるレベル。輝きにも支障が出るとされ、通常は敬遠されます。

カット(Cut:カット、研磨)
ダイアモンドの輝きはカット次第と言われるほど決定的な要素であり、「4C」のうち唯一人間の手によって左右されるものです。要は、ダイアモンドに入射した光が内部で反射し、いかに多くの光が「クラウン」と呼ばれるダイアの天部に戻ってくるかということです。入射した光と同じ量の光が反射されれば、理想のカットが実現されている訳で、このカットの精度に対し次の5ランクを設定されています。Excellent(エクセレント)、Very Good(ベリーグッド)、Good(グッド)、Fair(フェアー)、Poor(プアー)。それぞれの評価基準はとても専門的になりますから、ここでは省略しますが、宝石としての許容範囲は「Good」ランクまでとされています。

今回はちょっと長くなりましたが、次回はいよいよパワーストーンとしてのダイアモンドについてお話ししましょう。

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