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「科学技術の英知を傾け、人々の絆を強め、連帯を深めることで、人類はこの未曽有の困難を乗り越えることができると信じています」

 

天皇陛下は6月25日、オンライン開催された国連の「水と災害に関する特別会合」で、出席者たちにそう語りかけられた。26分にわたる講演で、震災の記憶やコロナ禍の教訓を後世に伝える意義などを訴えられたのだ。

 

最後は「誰ひとり取り残されることなく、健康で幸せな毎日を享受できる社会の構築に向けて、私も皆さんと一緒に努力を続けていきたいと思います」と締めくくれられた陛下。

 

だが、東京五輪開催に突き進む日本では、“人々の絆”が強まるどころか分断が深まるばかり。都内の感染者数は再び増加に転じ、感染爆発が危ぶまれるステージ4の水準に達した。ワクチンの接種は進み始めたが、五輪ボランティアでさえ接種が間に合っていない。

 

世界中がコロナ禍にあえぐ中、犠牲を払って強行開催されようとしている五輪。いま日本は、陛下がおっしゃった“誰ひとり取り残されることなく、健康で幸せな毎日を享受できる社会”という理想とは真逆の方向に進んでいないだろうか。

 

「この講演は、波紋を呼んだ『拝察』発言があった西村宮内庁長官会見の翌日に行われました。五輪開催による感染拡大の懸念を長官を通じて発信されたのは、雅子さまと被災地に足を運ばれたり、水害について研究されたりするなかで培われた“誰ひとり取り残さない”という信念ゆえだったのでしょう」(皇室担当記者)

 

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