「CGでは出せない繊細な美しさのなかで、時代の重さや圧を感じながら自然と役に導かれた感じがしました」

 

そう語るのは、宝塚歌劇団の元トップ娘役、陽月華(38)。映画『かぞくわり』(1月19日・有楽町スバル座、TOHOシネマズ橿原にて公開)で初主演を果たした。奈良の国宝・當麻寺や大神神社などで、映画史上初めてロケを許され、貴重な撮影を行った本作。

 

陽月が演じるのは、千三百年以上の歴史を誇る寺に祭られている曼荼羅を一日にして織り上げてしまったという伝説の姫の生まれ変わり・堂下香奈。画家になる夢を抱くも挫折し、実家でニートな人生を送っていた。ある日、神秘的な男・清治と出会い、再び絵を描き始めると、彼女の周りの環境も激変していくのだった。

 

「最初は私には責任が重い役柄だと感じました。でも、父親役の小日向(文世)さんと作品についてお話しさせていただくうちに香奈というキャラクターが理解できるようになりました。ふだん、入ることのできない厳かな場所のパワーにも、すごく助けられましたね」

 

香奈には、夫の不倫が原因で実家に戻ってきた妹や、金に溺れて理性を失ってしまう母親がいて、重苦しい場面も数々あるが、現場は優しい空気が流れていたという。

 

「撮影の合間には歴史好きなキャストたちと遺跡ツアーに行って、真面目に『この遺跡は宇宙人の仕業に違いない』なんて話して盛り上がっていました」

 

「不思議な話が大好き」と語る陽月。友人の子どもがしゃべれるようになったころに「おなかの中はどんな感じだったの?」と聞いて、友人にあきれられたこともあるそう。

 

「3歳までは胎内の記憶が残ってる、って聞いたので(笑)。宇宙人に詳しい友人から、「渋谷には宇宙人がいっぱいいるよ。特にスクランブル交差点は宇宙人のたまり場」と聞いてから、渋谷に行くとキョロキョロしちゃってます(笑)」

 

クールな外見とは裏腹に、おちゃめで好奇心旺盛な性格。宝塚で娘役を選んだのにも意外な理由が。

 

「宝塚に入るまで、女の子らしいことが苦手でした。娘役を選んだのは、女性らしさを身に付けたかったから。今は役者業のためにも、匂い立つような色気が出せるようになりたいです」

 

何事にも真っすぐに取り組むタイプ。将来の夢や目標を聞くと。

 

「いろんな役に挑戦したい。役柄って無数にあるので、それを全部演じたいくらい欲深いんです。見てくれた方の心に寄り添えるような作品作りをしていきたいです」