泉ピン子が明かす理想の死に方「芸能界と社会から自然にフェードアウトしたい」
画像を見る 朗読劇を成功させるため、毎日3kmのウォーキングで体力作りも

 

今ね、橋田先生ご夫妻をまねてじゃないけど、うちも夫婦の終活で、予行演習している感じです。先生んちも東京と熱海で別居生活が長かったから、ご主人を亡くしたあとに、よく言ってました。『またフッと帰ってきそうで、夫が死んだ実感がないのよ』

 

もともと私と先生とのご縁が始まるのは、最初にお父ちゃん(TBSプロデューサーだった岩崎嘉一さん)が私を気に入ってかわいがってくれたから。だから、私は『夫の三十三回忌をしたかった』というママの生前の気持ちを継いで、お父ちゃんの三十三回忌も富士霊園で、私なりに心を贈りました」

 

ご主人にも、すでに「私は葬儀も戒名もいらない」という気持ちを伝えているというが、驚いたのは、芸能界の仲間たちにも同様に手を打っていること。

 

「TBSアナウンサーの安住(紳一郎)に言ってある。葬式はしないから、お気に入りのそば屋を貸し切りにして、好きな人間だけを呼んで、と。すると、せいぜい十数人かな。嫌いなヤツは絶対に入れるな、とも。意地悪ですよ、私(笑)。でも、相手も義理で来ることを考えると、実は親切でしょ。そしたら安住、『その名前をご自分で書いておいてください。その人が来たとき、僕から“入らないでください”とはとても言えませんから』ですって(笑)。

 

理想の死に方については、橋田先生ともよく話しました。

 

『ねえ、あの人、最近、見ないけど、どうしてる?』
『こないだ死んだんじゃない』
『いや、まだ生きてるよ』
『いやいや、もう死んだよ』

 

そんな感じで、芸能界からも社会からも自然にフェードアウトして、いつのまにか忘れられてるというのが、いいかなあ。

 

ただ、近しい人との最後のお別れは、やっぱり自宅で。いつもテレビを見てるお気に入りの場所があるから、そこの椅子をどけて棺桶を置いてほしい。そう、お手伝いさんにもすでに伝えてます」

 

■夢がかなった朗読劇は、芸能人生の集大成。感謝を伝えるために、日本全国どこへでも!

 

「岩造に愛人がいた。その愛人は68。その子がもう36になる。妾との間にできた子供が36。少なくとも40年、騙された……」

 

7月半ばの都内のスタジオ。ピン子は、8月4日から主演する朗読劇『すぐ死ぬんだから』の稽古の最中で、共演の村田雄浩(62)を相手に、『渡鬼』にも負けない長い台詞を披露していた。長年連れ添った夫に、まさかの愛人と隠し子がいたという、どこかで聞いたようなストーリーだ。

 

「この朗読劇の話が決まって、うちの夫に原作を読ませたら、『おもしろい』ですって。つい、心の中で『おまえのことだろ!』って、突っ込んでたわよ(笑)。

 

でもね、言いたいのは、夢ってかなうのね。私、ずっと朗読劇をやりたいと思って、これまで頑張ってきたら、74になって、芸の神様が、「最後にこれをやらせてやるよ」と、プレゼントしてくれた。だから、これが集大成、芸能人生の終活です。

 

稽古場では、汗だくになりながら何度も台詞を繰り返す姿があった。同作は、東京公演後には全国で「感謝の行脚」をする予定。

 

「北海道でも九州でも、ナマ泉ピン子を見たいという人がいれば、私は行くわよ。だって、その人たちが、私を作ってくれたんだから。特に地震や災害で大変な思いをした人たちのところには行きたいわね。少しでも元気になってもらえる役に立つなら、地方の公民館だって行く、そんな心意気よ」

 

ピン子節健在。たとえ迷いながらでも、自分らしい終活は、人をまた元気にするようだ。

 

【INFORMATION】

『朗読劇 泉ピン子の「すぐ死ぬんだから」』(内館牧子原作・8月4~14日)はあうるすぽっと〈東京・池袋〉にて、ほか全国11都市で上演。

(問い合わせ先)キョードー東京 0570-550-799

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