腹筋運動で首や肩に余計な力が入ると、痛みが生じる原因にも(写真:アフロ) 画像を見る

「おなかの筋力が低下してくると、日常生活の中で正しい姿勢がキープできないために『反り腰』や『猫背』になってきます。それが原因となって慢性的な腰痛に悩まされる人も。

 

おなかの周囲は主に複数の筋肉で構成されており、筋力が衰えると、そのぶん脂肪がどんどん増えていきます。特に女性は40代後半〜60代になってくると、内臓が下がり気味になる傾向があります。これを防ぐためにも、まずおなかのインナーマッスル(体の深部にある筋肉)『腹横筋』を鍛えることがとても大切なのです」

 

そうアドバイスするのは、ピラティスインストラクター・くびれダンストレーナーの榎本愛子さん。気になる“ポッコリおなか”をなんとかしようと腹筋運動に挑んでみるものの、上手にできないという女性は少なくない。榎本さんが、腹筋運動が苦手な受講生に勧めているというエクササイズがズバリ「壁ピタ腹筋」。その名のとおり、寄りかかれる壁があれば、いつでもどこでもスキマ時間にできるのが特徴だ。

 

「私たちの頭の重さは全体重の約10%といわれています。体重が60kgの人であれば6kg。とても重いので、あおむけの腹筋運動をしている最中に首や肩に余計な力が入ってしまい痛みが生じるなど、思わぬ負担をかけてしまいがちです。腹筋運動は、背骨を丸めて、肋骨と骨盤を近づけることで腹筋を鍛えるトレーニング。重力を味方につけて肋骨と骨盤を近づけるようにすると、無理なく腹筋を鍛えられます」(榎本さん、以下同)

 

「壁ピタ腹筋」は、立った状態で重力を利用して背骨を丸めて行うので、あおむけでの腹筋運動より首を痛めるなどの心配が少ない。さらに、背筋が伸びて正しい姿勢になる。

 

姿勢を正して腹筋を鍛えることで、反り腰や腰痛の悩みがある人は徐々に改善するという。

 

やり方はいたってシンプル。まずは壁に背を向けて立つ。視線を正面に向け、壁に頭、肩甲骨、お尻をつけて足を肩幅ぐらいの広さに開こう。腕を肩の前でクロスして肘を前に出し、足は1足分ほど壁から離す。

 

「壁ピタ腹筋を正しく行うコツは『呼吸』です。鼻からゆっくりと息を吸って、口から吐くのが基本。吐くときにおなかの中にある空気を絞り出す感じで腹部をへこませましょう」

 

鼻から息を吸い、口から細く吐きながら、視線を下に向け、壁についた背骨を上から少しずつはがしていく。みぞおちの背中側が離れるくらいまで背中を丸める。腰と壁の隙間をつぶすイメージで行うとよいそうだ。もう一度息を吸い、吐きながら今度は背骨を一つずつ壁につけていくイメージで姿勢を戻す。これをはじめのうちは1日5回ほど行うようにする。1週間程度継続すると腹筋に力がついてくるのが実感でき、あおむけでの腹筋運動ができるようになる人も多いという。

 

腰と壁の隙間をつぶすようにして立つだけでも、自然とおなかに力が入る。

 

「骨盤のズレも腰痛の原因といわれています。腰痛改善には体幹を鍛えることが有効ですが、壁に背中をつけた状態で、背中で壁を押すという動作は体幹のトレーニングにもなります」

 

スキマ時間に手軽にできる腹筋エクササイズで、ポッコリおなかや腰の痛みを克服しよう!

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