26年前のドレスと“再会” 石垣さん「娘に会ったみたい」 糸を紡ぎシルク布制作
26年前に蚕から糸を紡いで制作されたウエディングドレスと対面した、制作者の石垣昭子さん(右)と持ち主の友寄ゆかりさん=9日、那覇市久茂地、ブックカフェ&ホール「ゆかるひ」

 

蚕から糸を紡いでシルクを織り上げ制作したウエディングドレスと、26年ぶりに制作者で染織家の石垣昭子さん(80)=沖縄県竹富町西表島=が“再会”した。ドレスの持ち主は友寄ゆかりさん(58)=那覇市。石垣さんはこれまでウエディングドレスを3着手掛けたことがあるが、おくるみやストールなどにリメークされたとし、完成品のまま再会するのは初めてという。石垣さんは「嫁に行った娘に会ったみたい」とうれしそうにドレスの手ざわりを確認していた。

 

那覇市久茂地のブックカフェ&ホール「ゆかるひ」で、石垣さんのドキュメンタリー番組の上映とミニトークが9日に開催されたのを機に、1日限定でドレスが展示された。

 

友寄さんは「21歳になる娘がいるので、できたら娘に結婚式の時に着てもらいたい」と親子でドレスを引き継ぐ予定だ。

 

ドレスは長袖で、小さなシルクのリボンがいくつも付いた長いストールが特徴。石垣さんがシルクを織り、別のデザイナーがドレスに仕立てた。

 

当時友寄さんが石垣さんにドレスをオーダーしたのは、オーストリア生まれの哲学者で教育者のシュタイナーが提唱する人智学の影響が大きかったという。

 

友寄さんは「当時手仕事に興味があり、石垣さんの手仕事に感銘を受け、ドレスを依頼した」と語った。

 

石垣さんは「今も相変わらずこのような感じで仕事を続けている。蚕を飼い始めたころの作品だったと思う」と話した。

 

竹富島出身の石垣さんは、西表島で自然素材の布作りをする紅露(くーる)工房を営む。島で栽培した植物などから糸や染料を作り出し、昔ながらの方法で布を織る。

 

デザイナーの三宅一生さんと仕事をしたり、ニューヨークのテキスタイル展に出展したりした経験があり、海外からも注目される。

 

98年から県外のテキスタイルデザイナーと服飾デザイナーと石垣さんの3人でブランド「真南風(まーぱい)」を立ち上げ、海外でも展開している。最近はインドにも工房を設け、技術継承に取り組む。

 

一方で、島の伝統行事に使う衣装や奉納用の布の制作が「基本の仕事」とし、約20年にわたり島の祭事を側面から支えている。

 

(知花亜美)

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