新型コロナウイルス関連資料の一部黒塗りについて、問題ないとの認識を示す玉城デニー知事=27日、県庁(代表撮影) 画像を見る

沖縄県が新型コロナウイルスに関する資料で個人情報が含まれていない一部のページを黒塗りで開示していた問題を巡り、玉城デニー知事は27日の記者会見で「条例に基づいて手続きを取った」として問題ないとの認識を示した。一方、非開示とした根拠について「他の資料と重ね合わせると、個人の情報が類推できる」と説明した。裏を返すと、相関図のページ単独では個人の特定に至らないことを結果的に認めた格好だ。

 

情報公開制度は原則公開で、どうしても必要な場合に限って非開示とするのが基本だ。個人情報と「関連する」(県幹部)ページまで黒塗りにした対応は、制度の趣旨にそぐわない。情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「照らし合わせると個人が分かるという場合、両方を不開示にするのではなく、識別性の高い方を不開示にすれば足りる」と指摘した。

 

玉城知事は別の開示箇所で観光業や飲食業に触れているとし「特定の業界に配慮したものではない」と主張した。開示決定の際に業界への意見照会などはしていないという。開示決定は課長までの決裁で、玉城知事らは事後報告を受けた。

 

問題の相関図について県は個人の関係性を明示した別の黒塗りページと「合わせることで特定の個人を推測できる」と判断し「セットで非開示とした」と言う。クリアリングハウスの三木理事長は「今回の場合、個人の情報が書かれているページのみを不開示とすれば、相関図まで黒塗りにする必要はなかった」と指摘した。

 

開示請求をした調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクトの河村雅美代表は県の説明について「苦しい言い訳だ。(問題としている相関図は)個人情報ではなく分析結果だ。原則公開の制度で、政策の基礎となるデータを隠すことがあってはならない」と批判した。

 

大城玲子保健医療部長は今回の対応は適切だったとした半面、「知事からは開示が原則なので、今後、開示請求があった際にはきちんと細部まで検討するよう指示を受けた」と説明した。

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