株式会社クレストの代表取締役・池原稔さん(左)、照屋志樹さん 画像を見る

恩納村の「おんなの駅」で、しまくとぅばが流れる自動販売機を見掛けました。そのときは素通りしてしまったのですが、いまさらながら気になっています。
(那覇市 鬼太郎)

 

その自販機については、調査員も以前から気になっていました。しまくとぅばが流れる自販機で、いったい何を販売しているのでしょうか? それでは調査開始です!

 

心に響くお守り?

 

さっそく「おんなの駅」にやって来ました! しまくとぅばが流れる茶色の自販機は宝くじ売り場の近くにあります。販売しているのは…「心のお守り」? 自販機の前面には、恩納ナビーや恩納村主催の「琉歌大賞」で大賞を受賞した人の作品など40首が記載されています。どうやらこの中から心に響く琉歌を選んでお守りにしてください、ということらしいです。

 

試しに調査員も心に響く琉歌を探してお金を投入、ボタンを押すと琉歌が書かれたお守りストラップが解説付きで出てきました!

 

それにしても、なぜこのような自販機が設置されているのでしょう? 調査員は自販機に「株式会社クレスト」と記載されているのを見て、同社に電話。たばこや水素水を販売する北谷町の「おおば」北谷店前でお話を伺うことになりました。

 

沖縄の文化大切に

 

後日、約束の場所に到着すると、ここにもしまくとぅばが流れる茶色の自販機が!

 

「このしまくとぅばラジオ自販機からは24時間365日、しまくとぅばの番組が流れています」と話すのは、株式会社クレストの代表取締役・池原稔さん。電子カルテの販売などを主に手掛ける会社ですが、「しまくとぅばラジオ自販機」を県内に広める事業も展開中。現在約40台設置していて、そのうちの16台は琉歌に関する自販機だそう。

 

「仕事で病院や介護施設に行くことがありますが、そこでラジオを聴いているお年寄りから、『若者のラジオは合わないから、しまくとぅばの番組を作って』と言われました。そのことがきっかけでネットラジオの『沖縄しまくとぅば放送局』を開設しました」

 

なるほど。その番組を自販機からも聞こえるようにしているのですね。

 

恩納村の自販機はお守りでしたが、こちらでは琉球国王などが詠んだ琉歌の「ミニ掛け軸」を販売していました。

 

その他、北谷町美浜のメディアステーションや南城市の奥武島などでは名護親方の「琉球いろは歌」Tシャツ、ハンドタオル、キャップも販売しているそう。

 

池原さんは「先人たちがどんなものの考え方、生き方をしていたのかは、しまくとぅばで語り継がれてきた。でも、しまくとぅばがなくなったらそれは伝わってこないからね。若い人たちも沖縄の文化を大切にしてほしい」と話しました。また、企画営業の照屋志樹(もとき)さんは「もっと若い人向けの商品もできればと思っています」とのこと。

 

今後は琉歌の恋歌自販機も設置予定の他、SNSで楽しむしまくとぅばのチャットを試作中。しまくとぅばを入力したら、漢字(ルビ付き)と平仮名で標準語に変換されるような仕組みにするそうです。

 

今回の調査では「しまくとぅばを消滅の危機から守りたい」という池原さんたちの強い思いが伝わってきました。まずは自販機をきっかけに多くの人が、しまくとぅばを身近に感じてくれるとうれしいですね。
(2021年3月11日 週刊レキオ掲載)

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