消費税12%、医療費6割負担…防衛費5兆円増で生活苦の未来
画像を見る 軍備増強で国民の暮らしはどうなる?

 

■政府はただ国民を不安に陥れている

 

そうなると、家計は苦しくなる一方だろう。

 

ところが、先月、毎日新聞が行った世論調査では、防衛費について「大幅に増やすべき」との回答が26%。「ある程度」の回答も合わせて8割弱が増やすべきだと答えた。

 

早稲田大学の水島朝穂教授(憲法学)が語る。

 

「これは不安感に便乗する政府の常とう手段の影響です。たしかにロシアのウクライナ侵攻、弾道ミサイルの発射実験を続ける北朝鮮や軍事的活動を活発化する中国などを脅威と感じる人はいる。しかし、その脅威を客観的に捉えることなく、政府はただ危機をあおりたて、国民を不安に陥れて防衛費の増額を画策しているのです」

 

この防衛費の倍増は、日本のためにもならないと語るのは、上智大学の中野晃一教授(政治学)だ。

 

「岸田首相がバイデン大統領に語った決意は、増額した防衛費で『アメリカからたくさん武器を買います』というもの。潤うのは国民ではなく、アメリカの軍需産業です。保育や教育など社会保障に税金を使う人への投資は、いずれ税収が増えたり、納税者人口が増えたりするなどの相乗効果が期待できます。ところが、防衛費を増やして、武器を買っても雇用も生まれず、維持費だけがかかる。私たちの経済や暮らしが好転していくことはないのです」

 

最後に前出の水島教授が語る。

 

「岸田首相は、防衛費の倍増の財源や中身を示さないまま7月10日の夏の参議院選挙に突入していきます。つまり有権者たちは判断材料が不十分なまま1票を投じることに。不安だからと投じた票によって、次の国政選挙があるまで思いどおりにできる“黄金の3年間”を政府に与えてしまうことも。防衛費の倍増が、生活や暮らしをどれほど締めつけ、どのような事態を招くのか、立ち止まって想像してみてください」

 

上昇し続ける物価、上がらない賃金。国民の生活を第一に考えるのならば、軍備拡張よりも優先すべきことがあるだろう。

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