10年ぶりの長編作品が大ヒットしている宮﨑駿監督(写真:アフロ) 画像を見る

※この原稿では、公開中の映画『君たちはどう生きるか』の内容に一部触れています。

 

テレビCMなし、出演者発表なし、映画公式サイトなし、ストーリー紹介なし、パンフレットは後日発売予定……、“ないない尽くし”の映画『君たちはどう生きるか』を見るために多くの人々が映画館に足を運んでいる。

 

映画コメンテーターの有村昆さんは、公開から1週間で、すでに2回見たという。

 

「公開から4日間の興行収入は21億4千万円。宮﨑駿監督作品で316億8千万円という最高収益を記録した『千と千尋の神隠し』(’01年公開)は4日間で19億4千万円でしたから、それを上回るペースです。

 

興収100億円以上は間違いなく、『千と千尋』の記録を塗り替える可能性もありますね」

 

7月24日には10日間で36億円を超えたことが発表され、WEB上でも“200億円超え”といった言葉が散見されている。公開まで、あらすじすら明らかにされなかった作品が、なぜここまで話題を集めているのか? 同作を初日にチェックしたという映画ライター・よしひろまさみちさんはこう語る。

 

「実は事前に“宣伝をしない”という方式自体は珍しいものではありません。『スター・ウォーズ』シリーズや、マーベル作品でも前例があります。ただ、プロットや場面写真すら公表しないという徹底ぶりには驚かされました。

 

それでもヒットしているのは、スタジオジブリの“ブランド力”につきます。宮﨑監督が10年ぶりに手がけたジブリの長編作品に、皆さんが期待していたのだと思います」

 

作品の評価は割れている。「さすが宮﨑作品!」と絶賛する声もあれば、「よくわからなかった」という声も聞こえてくる。まさに“真っ二つ”という状態なのだ。

 

「終了したとき客席もなんだかドヨドヨしていましたが、実は私も初めて見たときは『何を訴えたいのか、よくわからないな』という感想を抱きました(笑)。そして2回目を見て、なるほど、と……」(有村さん)

 

「わかりづらい作品という評価があっても仕方がないかもしれません。宮﨑監督ご本人もキャスト・スタッフ限定の試写会の際に、『おそらく訳がわからなかったでしょう。私自身、訳がわからないところがありました』と、コメントしているほどです。監督も、わかりやすいようには作っていない気がしました。

 

ただ私は“後世に残る傑作”だと思います。日本の映画は説明過多の作品も多いですが、その風潮のなかで珍しく“答えを出さない映画”と言えます。多くの人が議論できる、深みのある作品です」(よしひろさん)

 

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