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(写真・神奈川新聞)

 

ディー・エヌ・エー(DeNA、東京都)と県タクシー協会(横浜市中区)は19日から、横浜・川崎市内を対象に次世代型のタクシー配車アプリ「タクベル」のサービスを開始した。今夏には県内全域でサービスを展開し、協会加盟の約半数のタクシーがタクベルに対応する。また今年中に人工知能(AI)を活用した「需要予測システム」を導入する予定で、状況に応じて推薦走行ルートを提示するなど、各乗務員にそれぞれ最適化した情報が提供できるようになるという。

 

タクベルは、同協会に加盟する182事業者のうち82事業者が導入を決定。現時点の対象エリアの横浜・川崎市内のタクシーの約半数に当たる約2800台でサービスを始めた。

 

配車アプリは、乗客がスマートフォンの専用アプリを使って指定の場所へタクシーを呼ぶ仕組み。従来のアプリでは配車を頼む前にタクシーが来る時間の目安が分からないことやアプリに表示されている車両の位置と実際の位置がずれることなどの課題があったという。

 

DeNAが開発したタクベルは、現在地周辺を走行中の空車車両をリアルタイムに確認することや予想到着時間を事前に確認しながら配車が可能。タクシー乗務員と乗客が効率よく出会えるよう互いの現在地を確認できる機能や定型メッセージを送り合える機能も備え、全車両ネット決済にも対応している。

 

一方、事業者向けにAIを活用したサービスがあることもタクベルの特徴。DeNAが現在のタクシーの潜在需要を分析したところ、タイミングよくタクシーがつかまらないことなどで機会を逃し約40%の取りこぼしがあるという。

 

そこで運行中のタクシーから収集するデータと天気や公共交通機関の運行状況、イベント開催などさまざまなタクシー需要に関連する情報をAIを使って解析して最適化し、乗務員それぞれに必要な情報をリアルタイムに提供することで、効率よく乗客を探すことが可能になるという。

 

同日会見したDeNAの中島宏オートモーティブ事業本部長は「乗客を探すスキルをAIがサポートすることで、経験が少ないドライバーでも売り上げを高める可能性が広げられる」と強調。県タクシー協会の伊藤宏会長は「効率的に営業して売り上げが増えれば年収も上がる。他産業との収入の差があるのでこれを縮め、いずれは逆転し、若い人材が多く集まるような業界にしたい」と話した。

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