たとえ病気であっても、家で最期を迎える時代がやってきた。高齢社会が加速し、介護施設の不足も深刻化するなかで、国の方針は在宅ケアに向かっている。制度を最大限に利用すれば、フルタイムで働きながらでも家族が望む「在宅死」を実現することができるという。
「事業を展開するのはまだ、東京23区のうち新宿、世田谷、杉並、大田、葛飾の5区ですが、現在エリアを拡大中です。サービスの提供圏は事業所から半径1キロ以内。夜中の緊急コールにも自転車で5分程度、遅くても10分以内でかけつけます」
そう語るのは、SOMPOケアメッセージの介護サービス「在宅老人ホーム」地区本部長の斉木康作さん。「在宅老人ホーム」は、’15年2月に開始した同社独自の民間介護サービス。「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」のサービスをベースに、別料金で3度の食事の手配、掃除、洗濯、ごみ出し、草むしり、電球の交換など、生活に必要な介護保険外のサービスを提供する。
介護保険でカバーできて、看取りを行う家族の負担を少なくするのが「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」制度だ。1回10~15分の訪問介護を1日4~5回、1週間に4~5回行っても、利用料金は要介護5でも最大で3万5,000円程度(介護保険1割負担)。状態に応じて訪問回数を増やしても料金が変わらないメリットがある。実際に、この制度を利用して、仕事を辞めずに両親を看取ったケースも出てきている。
介護保険でカバーできる同制度は’12年にスタート。全国の事業所数は704カ所、利用者は約1万5,600人(’16年11月・厚生労働省「介護給付費等実態調査月報」)。現在も少しずつだが増えており、各市区町村に1~2カ所ほどできている。
また、“看取り”につながる介護サービスを受けるためには、行政が運営する地域包括支援センターの相談員と顔なじみになり、地元の最新情報を入手することが肝要。そのほかに情報収集をするなら、自治体が独自に発行している小冊子や、事業者の連絡先がのっている介護保険情報誌『ハートページ』などをチェックしよう。