県は17日、新型コロナウイルス感染症の流行に歯止めが掛からず、医療提供体制が逼迫(ひっぱく)しているとして、政府に対して沖縄を緊急事態宣言の対象地域に加えるよう要請する方向で調整に入った。同日午前の感染症対策本部定例会議で議論し、「まん延防止等重点措置」の対象地域となっている県内11市5町では、新たな制限として飲食店の酒類提供を終日禁止する措置も検討している。医療専門家らの意見を踏まえ、県は18日にも感染症対策本部会議を開いて協議する。
県によると、大型連休中の人流の増加などの影響が出始め、16日時点で直近1週間の感染者数はまん延防止等重点措置の適用が始まった4月12日と同水準まで増加している。療養者数も急激に増加しており、16日は1478人と過去最多を更新するなど、医療提供体制は厳しい状況にある。
そのため、県は緊急事態宣言の適用や酒類提供の禁止など強い措置を取ることによって、人の流れを抑制する方向にかじを切った。緊急事態宣言の適用が決まった場合、飲食店の休業要請など、より強い対策を取れるようになる。
県は17日午後、経済対策関係団体会議と専門家会議を開き、経済界や医療界の意見を聞いた。経済対策関係団体会議の冒頭、照屋義実副知事は「飲食店を介した感染が再び増加していることに鑑み、飲食店に酒類提供を行わないよう要請することや、さらに厳しい対策として国に緊急事態宣言の対象に加えるよう要請することの必要性を検討している」などと述べた。
同日夜に開かれた、医師らでつくる県の感染症対策専門家会議(座長・藤田次郎琉球大学大学院教授)でも、まん延防止等重点措置では「第4波」を抑えられないとして、緊急事態宣言への移行はやむを得ないとの意見で一致したという。糸数公医療技監は、医療機関の受け皿にも限界があり、自宅療養者が増えつつあるとして「これがあと1週間増えるとかなり厳しい」と強い警戒感を示した。