9月18日に施行「医療的ケア児支援法」に期待する家族の思い
画像を見る 菜々実ちゃんには非常にまれな障がいが

 

【ケース1】私が夢見る明日:学校や放課後の預け先ができ、フルタイム勤務を続けられること

 

ママ:江田純子さん(41)。東京都在住 フルタイムで働く会社員。
長女:菜々実ちゃん(5歳)。16番目の染色体異常。重症心身障害児。
必要な医療的ケア:胃ろう・酸素吸入。

 

お母さんは、大手企業にお勤めで、現在勤続20年。菜々実ちゃんの出産直後に管理職に昇進した。会社はフレックスタイム制なので、産後は復帰するつもりだったが、菜々実ちゃんには非常にまれな障害があり、医療的ケアも必要。預け先はあるのか、国や自治体からどのような支援が受けられるか皆目わからず、一時は途方に暮れたという。

 

「どうしても復帰できない場合は、実家に戻って薬剤師になろうかとも思いました。働き続けたかったんです」

 

とにかく、育休が終わるぎりぎりまで粘って、仕事復帰の道を開こうと、情報収集を始めた。

 

「たまたま一緒に入院していた医療的ケア児さんのお母さんと知り合いになったことをきっかけに、13〜14人のママとつながることができました。また、SNSで発信することで、より多くの同じ立場の方とつながることができたんです。そんなとき障害児保育園が近くにあると知り、問い合わせると、幸運にも入所することができ、仕事復帰がかないました」

 

現在は、コロナ禍の影響もあり、完全在宅勤務。7時40分にお迎えのバスに菜々実ちゃんを預けると、仕事を開始。4時半に菜々実ちゃんが帰宅したあとは、自宅でヘルパーさんに夕方まで見てもらい、仕事を終えると、大急ぎで妹を保育園に迎えに。

 

菜々実ちゃんが体調を崩して入院したときも、会社の家族の看護休暇制度を使ってフルタイム勤務を続けてきた。

 

ところが、小学校入学を前に、大きな壁にぶつかった。

 

「菜々実が通うことになる特別支援学級では、先生がケアをしてくれますが、ケアの引き継ぎのため3カ月間、親が学校に待機しなければならないとのこと。また、放課後に預けられる施設は現状ではありません。でも、支援法が施行されれば、引き継ぎ期間の短縮や学童保育について、交渉しやすくなるかもしれないです」

 

「医療的ケア児」は長く法律上定義されてこなかったので、支援の必要なケア児がどこに何人いるかという情報さえ、自治体は把握していないのだ。

 

「いまは、親の要望ベースで個別に交渉していますが、各都道府県に支援センターができれば、どんなニーズがあるのかという情報が集まってきます。将来的には支援体制ができるだろうと期待しています」

 

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